「活動記録」カテゴリーアーカイブ

狛江市和泉小学校での活動

山崎謙介会員が、10月27日に狛江市立和泉小学校の6年生3クラスおよそ100名の児童に対して、「地震の起こり方ー地震発生のモデルと地震の規模を測る物差しー」というテーマで授業を行いました(以下の記述は当日のお話に、補足的な解説を加えています)。
20161027-110月21日に鳥取地震が起こっています。4月には熊本地震があり、5年前には東北地方太平洋沖地震がありました。鳥取地震は解析が間に合わなかったけれど、熊本地震と東北地方太平洋沖地震を例に、地震について考えてみましょう。

熊本地震の新聞記事です。この時は大きな地震が1日の間をおいて2回、発生しました。本震だとか余震だとか前震だとかの言葉が使われ、最初は混乱しました。ともあれ、地震が発生した時には必ず、震度、マグニチュード、震源の位置と深さが発表されます。
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それでは新聞記事にある、震度って何でしょう、マグニチュードって何でしょう。6年生になると新聞を見ることがあると思いますが、記事を読んで「?」と思ったら調べてみましょうね。今日は震度とかマグニチュードとは何か、から始まって、「そもそも地震ってどんなことで、どうして起こるの?」とか、「地下では何が起こっているの?」ということを考えてみましょう。
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新聞にはすぐに気象庁から各地の震度が発表されます。昔は人が感じた揺れの大きさや周囲の状況から震度を決めていましたが、現在では(平成8年4月以降)各地に置かれた計測震度計によって自動的に観測しています(実際はそこから計測震度を算出して表示できる地震計が使われています)。熊本地震の時の九州各地の震度はこんな風でした。
20161027-4みんなに配った気象庁発行の「震度とゆれの状況」のポスターを見てください。現在では震度5と6に弱と強があるので、震度は0から7まで10階級に分けられています。このポスターを家のどこかに貼っておいて、地震が来たら震度を推定してみるといいですね。

科学ではいろいろなことを計測(観察して数値化)することが重要な第一歩になります。地震の場合は、計測する項目の一つが震度なのです。

それではどうやって震度を計測するのでしょうか。震度は地面の動きです。これには変位(どの程度動いたか)、速度(どのぐらいの速さでか)、それと加速度(速度の変化はどのくらいか)がありますが、人が敏感に感じるのは加速度です。たとえば、電車に乗った場合、駅から発車するときと駅に停車するときは、体がスピードの変化を感じることができますが、駅の間で一定の速度になるとあまり動いているとは感じられなります。つまり人は加速度を敏感に感じているのです。

この加速度を測るのが計測震度計で、原理は振子運動にあります。これは振り子ですね。こうやって錘を動かしてやると左右に振れます。一方、錘を一番下の位置で止めて、持つ手を素早く動かすと錘は振れません。錘は停止した状態で周囲が動くことになります。したがって、この周囲の動きを記録してやればよいのです。
20161027-5次の図は、この地震計の原理を図にしたものです。
fig9_1図はここから引用。原理についてもう少し詳しく書かれている。

加速度の単位はガルで、速度が1秒間で1cm速くなるのを1ガルとしています。このガルはガリレオ・ガリレイから来ています。現在の計測震度計では記録は紙に描くのでなく、コイルを使って電流に変えて記録しています。また上の図のような一方向ではなく、東西方向、南北方向それと上下方向の三成分を記録しています。
20161027-6上の図は、熊本地震の本震(4月16日)の時の、上から南北、東西、上下方向の加速度の記録です(地中と地表が3本ずつ)。

こうして求めた三方向の波形から計算によって計測震度を求め、震度階級に置き換えています(詳しくはここをご覧ください)。

計測震度は、その場所での観測値なので、震源からの距離(あるいはその場所の地盤などの状況)によって異なってきます。次の2枚の図は、東北地方太平洋沖地震の時の東京(上、震度5)と宮城県(下、震度7)での三方向の加速度の記録です(縦軸のスケールは異なり、下の方が13倍ほどは大きい)。
20161027-720161027-8上の図でわかるように、震源に近い宮城では2つのピークがあるのに対して、東京では1つに融合して長い時間経過をたどっています。これは揺れが伝わってくるために起こることです。東京では震度5の揺れが長く続き、怖かったですねー。みんなはその時幼稚園生だったかな、怖かったでしょう、と当時の記憶と地震の記録を結びつけるようにします。

それでは地震はどうして起こるのでしょうか。昔は地下でナマズが暴れるので起こるなどと考えられていましたが、現在では地中で起こった断層運動によって生まれたエネルギーが、周囲に放出されるためだと考えられています。
20161027-9熊本地震も東北地方太平洋沖地震も最大震度は7ですが、震度の分布をみると後者の方がずっと広がっていて、規模の大きさをうかがわせます。ここで地震の規模を測る物差しとして、マグニチュードが登場します。地震の本態は断層運動ですから、断層面の大きさ(面積)と断層面が滑った大きさがわかれば、地震の震源での規模を測る物差しになります。

しかしながら、断層面の面積などを実測することはできないので、観測された地震波などをもとに計算して求めます。そのためマグニチュードには多くの種類があります。日本で主に使われているのは、気象庁マグニチュードとモーメントマグニチュードです(両者の違いについてはここに詳しく解説されています。ただし一番最後の引用されているWebPageはリンクが切れています)。

詳しいことは省略して大ざっぱに言うと、マグニチュードは対数なので(10∧1.5M)、マグニチュードが1大きくなると、エネルギーはおよそ31.6倍(10∧1.5)大きくなり、2では1000倍(10∧3)大きくなります。ちなみに熊本地震(本震)のマグニチュードは7.3、東北地方太平洋沖地震は9.0でした。これで地震の規模を数値化できることになりました。

気象庁が発表する地震情報には、震源の位置と深さがあります。これはどうやって計測しているのでしょうか。地震による弾性体である地面の揺れには2種類あります。一つは縦波(粗密波)で揺れの進行方向と同じ方向に振動するもの、もう一つは横波で進行方向と直角に振動するもので、前者をP波、後者をS波と呼びます(図はここより)。
jikazanimg2_2P波とS波では速度が違い、P波の方が速く進行します。そのためP波とS波の時間差を測ると距離が求められ、複数の観測地点の結果から震源の位置と深さを求めることができます。

こうして断層運動を起こした面積の大きさと「ずれ」の大きさが、地震の規模を決めていることが分かります。それではどうして断層運動が起こるのでしょうか。そこには地球の構造が大きくかかわっています。
20161027-10震源が比較的浅い地震の起こった場所を、世界地図の上に描いてみると、特徴的なパターンが見えてきます。
20161027-11これまでの研究で、地球の表面は何枚かのプレート(硬い岩盤)がジグソーパズルのようにはめ込まれてできていると考えられています。そうしてこのプレートは、ゆっくりと動いていて海溝で隣り合うプレートの下に沈み込んでいるのです。このような考えをプレートテクトニクスと呼んでいます。上の図の地震の起こった場所は海溝に沿っていることが分かります。

日本付近を拡大してみるとこのようになっていて、複数(4枚)のプレートが入り組んでいる位置に日本が存在していることが分かります。地震の多いのは仕方がないのですね。
20161027-12右上の赤が濃いところが千島海溝の位置、その下の縦に伸びた部分が日本海溝の位置です。右側の白い部分が太平洋プレートで、このプレートが日本海溝で沈み込んでいく部分の断面図が次の写真です。
20161027-13こうした動きによって断層運動が発生して、地震が起こるのです。地震の起こるメカニズムは気象庁のページに詳しく書かれています。

プレートは硬い岩盤の板だと書きましたが、この岩盤にはたくさんの割れ目があって、普段はしっかりとかみ合っています。この割れ目がプレートの動きによって押されてずれるのが断層運動です。このような「固着ーすべりー復元」は繰り返し起こります。これが活断層です。日本付近には、このような活断層が多数存在します。まだ見つかっていないものもあるようです。
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それでは地震予知はできるのでしょうか。繰り返し起こるのだから、周期がわかれば予知できそうですが、高い確率で予知するのは、なかなか難しいというのが実情です。

今日の話はちょっと難しかったかな。
20161027-15震度やマグニチュードの話をしましたが、科学にとって大事なことは観察・測定をすることです。地震の研究では、これらをいかに精度よく記録するか、科学者は知恵を絞ってきました。今でも改良が続けられています。地震を感じたら、震度やマグニチュードなど、今日のお話を思い出してください。

狛江市第四中学校での活動(2)

古川義純会員が、10月25日午前中に狛江市第四中学校の2年生3クラス90名に対して、「雪と氷の科学-氷の結晶ができる様子を観察してみようー」というタイトルで、実験授業を行いました。

古川会員の準備は周到で、札幌から冷凍庫と、その中に石鹸膜を作る針金製の輪、氷の分子模型、その他の小物などを入れて送ってあり、理科室にはその冷凍庫の電源が入って鎮座していました。
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準備が整ったところで時間になり、生徒が理科室に入ってきます。授業の始まりです。

自己紹介ののちに、まずは雪はどんな形をしているかしらという質問。これは大体、みんな六角形と答えます。次に下の写真にあるように細い筆の先につけた雪の拡大写真を見せて大きさを質問。どのくらいの大きさかな?20161025-420161025-5
生徒たちから、いろいろな大きさの声が飛びますが、みんなの答は0.1mmとか、小さめが多いようです。この写真の雪の大きさは3mmです。細い筆で雪の結晶を集めて黒い布(毛足のあるビロードがいいそうです)の上に置いた写真が次のもの。大きさや形はいろいろあるんですね。同じ形の物は決してないと言われているんだそうです(最近、この定説が覆されたとか)。
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雪の結晶は顕微鏡で拡大して観察します。
20161025-7典型的な樹枝状結晶と角板状結晶。
20161025-820161025-9この他にも扇型結晶、広幅結晶、星状結晶、樹枝付角板など、さまざまな名前が付けられています。また典型的な六角形の平面構造ではなく、角柱、針状、御幣などもあります。形の違いは結晶ができるときの水蒸気の濃度や温度などの条件によって決まります。中谷宇吉郎博士が「雪は天から送られた手紙」といった意味が分かりますね。

それでは雪の結晶はどのようにできるのでしょうか。もう物質の状態変化を学習していますね。水の三態は?、質問して答えてもらいます。そうですね、氷(固体)、水(液体)、水蒸気(気体)です。
20161025-10雪の結晶は、水蒸気が氷になることによって生じます(凝華、これまでは昇華と言われてきた)。結晶が成長していくわけです。水分子は学習しましたよね、どんな構造ですか?(生徒に答えてもらって)そうですね。H2O、すなわち酸素原子が一つと水素原子が2つ、こんな角度で結合したものが水分子です。
20161025-1120161025-12これが氷の結晶の分子模型です。こっちの方向から見ると、六角形をしています。そのために雪の結晶は五角形でも八角形でもなく、六角形になるのです。

気体の水蒸気が直接、固体の氷になる場合と、水が氷になる場合があります。水から氷になる場合でも、条件を整えれば結晶が作られていく過程を見ることができます。
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水蒸気から氷の結晶を作るのは時間がかかります。そこで工夫して、石鹸水に砂糖を混ぜ、針金製の輪に石鹸水の膜を作り、これを冷凍庫の中に入れてマイナス10度から20度に冷やすと、氷の結晶が成長していくのが見られます。砂糖は結晶の成長を抑えるために使っています。
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冷凍庫を用意してあるので、みんなでやってみましょう。以後、班ごとに各自、石鹸膜を作って冷凍庫の庫内に入れて、氷の結晶の成長を観察しました。きれいに六角形に成長すると、みんな感嘆の声を上げていました。
20161025-1620161025-1720161025-1820161025-1920161025-20どんな結晶ができるか、温度(冷凍庫内の位置)によって結晶のできる数やスピードが変わるか、ということにも注目してねと事前に言っておいたのだけれど、そこまでの観察できた人はあまりいませんでした。時間がなかったので仕方がありません。

この後、国際宇宙ステーション(ISS)の希望(日本の実験室)で宇宙で初めて氷の結晶を作った話をしました。やはり六角形なんです。
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上空の雲の中で雨や雪ができることを、これから気象の単元のなかで学習するので、今日のことを思い出してくださいね。
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それでは、これで終わります。「ありがとうございましたー」。楽しい授業でした。

古川会員は北海道大学低温科学研究所の名誉教授で、相転移ダイナミクス分野に所属し、雪の結晶の成長や氷の結晶表面のことを研究されてきました。雪や氷の結晶成長の基礎についての詳しい説明は、同研究所の下記のページをご覧ください。

http://www.lowtem.hokudai.ac.jp/ptdice/basis.html

八王子市立由井中学校での活動

有山正孝、廣田穣、町田武生、和田勝会員が、22日午前9時半から2時半まで八王子市立由井中学校で、第8回八王子市中学校科学コンクールの最終審査会に出席して、作品の評価、審査に協力しました。

八王子市立中学校PTA連合会(会長後藤真弓氏)は理科教育振興に熱心で、毎年、夏休みの理科研究の報告を募集し、SSISSもこの4年ほどPTA連合会が主催する最終審査会のお手伝いをしています。今年は各中学校での一次審査で選ばれて応募された作品は156件で、これを二次審査で37件に絞り込まれていました。それぞれの作品は、4つのブロックごとにテーブルに並べられています。
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審査員はSSISSの4名に加えて、八王子市立由井中学校校長、同ひよどり山中学校理科教諭、同教育委員会生涯スポーツ部こども科学館専門幹兼主査、後援をしているオリンパス株式会社技術開発統括本部RD運営統括部6グループリーダー、それとPTA連合会会長(いずれも氏名省略)の9名でした。始まる前に、各テーブルの作品をざっと下見です。

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お昼をはさんで4時間、審査員はすべての作品に目を通し、必要に応じてコメント用紙に記入します。また各審査員は5枚の付箋紙を持ち、良いと思う作品に投票していきます。みんな熱心に読んでいますね。
20161022-320161022-420161022-5いずれも力作ですが、選ばなければいけません。研究の目的が明確で、着眼点や発想がユニークであること、研究の進め方が論理的で仮説と検証のプロセスを踏んでいるもの、インターネットに載っているものを単になぞったものではなく、オリジナリティーがあるもの、を評価するようにということですが、難しい作業です。

全員が目を通した時点で、付箋紙の獲得の多かった作品が集められ、全員で一つ一つを検討し、最優秀賞、優秀賞、奨励賞を選んでいきます。
20161022-6最優秀賞1点と優秀賞1点はわりとすんなり決まり、残りの中から奨励賞を3件選んで、審査会は終わりました。

受賞者に対する表彰式と各受賞者によるプレゼンテーションは11月26日(土)に八王子学園都市センターホールで開催され、最終選考まで進んだ37点の研究のポスター展示が同時に行われます。

狛江市立第四中学校での活動

岡崎廉治会員が10月19日午前に、狛江市立第四中学校で「元素の話 ー宇宙から生命までー」と題して、3年の3クラス94名を対象に授業を行いました。第四中学校校長先生、副校長先生、理科担当教員、東京都教育庁理科支援担当員なども聴講しました。

3年生のこの時期なので、すでに教科書のいくつかの単元で、宇宙や進化、物質、元素などについては学んでいます。そこでこの授業では、これまで学んだ事柄を、元素をキーワードとして結び付け、総合的に理解させることを目指した授業を行いました。

20161019-1最初に生徒たちの興味を引き付けるためにクイズを3つ。1番目は「ヒトの体にある原子の数は何個ぐらい?」。3択で、1)10億、2)10億の10億倍、3)10億の10億倍の10億倍。
20161019-2それぞれの答えに手を挙げてもらいました。どれが正解だか分かりますか。答えは3)です。めちゃくちゃ、多いですね。

それでは第2問「ヒトの体にある元素の種類はどのくらい?」。1)10種類、2)30種類、3)50種類。
20161019-3答えは2)です。およそ35種類です。少ないですね。ただし分析技術の向上によって増えるかもしれません。ここで原子と元素という言葉の使い方を説明します。原子は粒として認識しているとき、元素は種類としてお互いに区別するとき、です。

第3問は「その元素(原子)はどこでできたか?」。これはほとんどの生徒が地球、太陽、宇宙のうち、宇宙と答えていました。

ここから、元素の誕生から現在までの壮大な時間のお話が始まります。
20161019-420161019-5現在、宇宙は膨張を続けていると考えられています。だとすると1億年前は今よりももっと小さかった、さらにさかのぼるともっと小さかった、、と小さくなって、最初は原子よりも小さなものだったはずです。それがあるとき爆発的に膨張します。ビッグバンですね。今から138億年前のことです。

この過程で、水素原子、ヘリウム原子と少量のリチウム原子が生まれました。
20161019-6これらの原子が2億年かけて集まって、その内部で核融合反応が起こり、周期表26番目の鉄(Fe)までの元素が生まれました。これが第一世代の恒星です。星には寿命があります。こうしてできた最初の恒星は、やがて膨張して爆発します。この爆発のエネルギーによって鉄よりも重い元素が作られました。
20161019-7このような誕生と死との繰り返しによって、宇宙には多くの星(銀河系)が生まれました。その一つ、天の川銀河に太陽系が生まれたのが46億年前、地球も一緒に生まれました。

さてここからは地球に焦点を絞ってお話していきましょう。地球は、大気圏、地殻、水圏、生物圏に分けられますが、地殻を構成する元素は、酸素、ケイ素、アルミニウム、鉄、カルシウム、、で酸素が48%を占めています。水圏(海)では、酸素が86%、水素が11%で、あとは塩素、ナトリウムです。

こうして46億年前に誕生した地球の上に、38億年前に生命が誕生しました。もちろんはじめは単細胞生物です。それが多細胞生物になったのが12億年前、我々の直接の先祖である哺乳類が進化した来たのが1.5から2億年前、大型の類人猿が誕生したのが2000万年前です。

さらにアフリカで現生のヒトHomo sapiensが出現したのが20万年前だと言われています。もちろん、この間にもう少し古いヒトのご先祖様、例えばHomo electusなどがいました。ヒトは10万年前にアフリカを出て世界中に分布を広げ、日本にたどり着いたのが3万年前でした。
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ヒトの体は35種類の元素からなるといいましたが、それではどんな組成になっているのでしょうか。酸素が一番多くて65%、次が炭素で18%、水素が10%、窒素が3%、あとはカルシウム、リン、その他の元素です。ただし数の比率でいうと、水素が一番多くて63%、酸素25%、炭素9%、窒素1.5%です。水素原子が一番多いんですね。
20161019-9今あげたのは多量元素で、少量元素として硫黄、カリウム、ナトリウム、塩素、マグネシウムがあります。さら微量元素として、鉄、亜鉛、マンガン、銅などがあり、超微量元素としてヨウ素、コバルトなどがあります。これらの金属はビタミンに含まれて酵素の働きを助けたり、ホルモンに含まれていたりします。微量でもとても大切な元素なんですね。
20161019-10周期表に書き込んでみると、こんな分布をしています。多量元素と少量元素は周期表の3周目+4周目の最初の2つまでに限られています。
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こうして宇宙の誕生から今の君たち、私の身体を見てくると、一番多い水素原子は、最初に誕生した元素である水素を受け継いでいることになります。原子は消滅することがないからです。地球に存在するすべてのもの(物と生き物)は、同じ元素(原子)を使いまわす仲間であり、みんなは星のかけらなのです。これが今日のとても大事なメッセージです。
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残りの時間で「新しい元素は作れるか」というお話をします。今年の6月に新聞に113番目の元素に理化学研究所がニホニウムという名前の案を提出したという記事が載りました。みんなが持っている理科の副教材に載っている周期表は、113、115、117、118が空白になっているはずです。
20161019-14このうちの113番目がニホニウムという名前が与えられ、これが国際的に認められるでしょう。チームリーダーである森田浩介博士が理研で2004、2005、2012年に発見というか作り出しました。30Znと83Biをぶつけて、足して113になるようにして作り出したのです。100兆回やって、たった3個だけ成功したのです。

このほか今年は、115がモスコビウム、117がテネシン、118がオガネソンという名前が提案されていて、118番目まで埋まったことになります。自然に存在する元素は92番のウランまでで、93から後の元素はいずれも人工的につくられた元素で、104番以降の元素は寿命の短いものばかりです。ちなみにニホニウムの半減期は0.0003秒です。129番以降の新しい元素はどこまで作れるか?わかりませんが、比較的安定な126番が次につくられるかもしれません。

ちょうど時間になりました。これで終わります。ありがとうございました。
20161019-13熱心にメモを取っている生徒さんがいました。聞いてみると「面白かった」という感想でした。
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この授業に関係する図表が、文部科学省の下記のサイト「一家に一枚ポスター」に掲載されています。この中の「宇宙図2013」と「元素周期表」です。PDFファイルをダウンロードできます。
一家に一枚ポスター
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3コマの講義が終了したのち、校長室で校長先生と歓談しました。その席上で、今年の夏休みに理科自由研究を募り、各学年の生徒から多数の応募があったこと、優秀賞を選定し、そのうち10名の生徒にプレゼンをしてもらったことを、資料をもとにお聞きしました。理科の興味を高め深めるうえで効果があったということでした。SSISSが支援している八王子PTA連合主催のコンクールについてお話をしました。

城山中学校での活動

有山正孝、大井みさほ、奥田治之、日江井榮二郎、廣田穣、町田武生、和田勝会員が、吉安信雄、萩野正興氏の助力を得て、10月8日午後に、八王子市立城山中学校で同校の校長先生が企画したイベントで理科の実験授業を行いました。

実験授業といっても教室実験授業といっても、教室で行うものではなく、体育館の中に机を並べたアイランドを7つ作り、1,2年の生徒およそ90名に一般の方(小学生を含む)およそ10名を加えた100名が分散してアイランドの周りに座り、そこで各会員がそれぞれのテーマで用意した実験に生徒が参加するというものです。

今回は今年1月に行ったのとは異なり、テーマを1つにして時間を長くし、たっぷりと実験できるようにしました。テーマは以下の通りです。
①奥田:日時計を作ろう
②日江井・荻野:太陽活動・太陽黒点
③有山・吉安:モーターの原理を学びクリップモーターを作ろう
④大井:空間における光の進み方を学ぼう
⑤廣田:色の変わる化学反応を調べよう
⑥町田:マウスの体の中を調べよう
⑦和田:ゾウリムシを顕微鏡で観察しよう

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開講に先立ち、各会員はブースの用意に余念がありません。
20161008-320161008-420161008-6マウスがかわいいと、生徒が手に載せています。
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開講式で校長先生のあいさつと講師(我々のことです)の紹介があって始まります。
20161008-7そうそう、フレアー博士は人気者で、サインを求められていました。20161008-8

各ブースでの各会員の活動の様子は、広報担当者がブースに張り付いていたので写真を撮れませんでした。あしからず。

最後に生徒代表の方からお礼の言葉が述べられてこの活動は終わりました。
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城山中学校のPTAの方々には、いろいろな面でサポートをしていただきました。

狛江市中学校教員研修会での活動

大井みさほ会員が、10月5日、2年生の生徒に実験授業を行った後に、狛江市立中学校の教員に対して「光とレーザーの利用」というタイトルで研修を行いました。20161005-12

最初に直前に行った理科授業特別プログラムについて、大井会員から、最初の説明に時間をとりすぎてしまったことを反省する発言がありましたが、理科部会長からは、何のために実験をするのかの意味が、生徒にわかってよかったのではないかというコメントでした。電子の励起などの説明は中学生には少し難しかっただろうと思います。

その後、本題の講演「光とレーザーの利用」として、自分の研究を含めてレーザー研究の歴史を話し、レーザーとは何かについての話につなげ、原理や応用について詳しく話しました。こちらでは反転分布の説明に「ものぐさ太郎」を使っていました。
20161005-1320161005-1420161005-15レーザーの原理などについては、直前の活動記録(狛江市第一中学校での活動)をご覧ください。

レーザー光は身近なところではバーコードリーダーやCD/DVDのピックアップ、さらに医療用、工業用、また計測、通信などに幅広く使われていることを話しました。

そのあとで、生徒がやったのと同じように水槽でレーザー光を見る実験などを実際に体験してもらいました。

狛江市立第一中学校での活動

大井みさほ会員が10月5日午後に、狛江市立第一中学校で「人と光のかかわり 特にレーザーについて」と題した実験授業を、2年の生徒30名を対象に実施しました。この授業は、狛江市中学校教育研究会の研究授業として、理科部会の教員へ公開され、理科部会長の第二中学校校長をはじめ7名の教員が聴講しました。

第一中学校の丸田先生の発声で授業が始まりました。まずは自己紹介。20161005-1続いて各種の「光」について、太陽や月の光、用意したローソク、LEDライトスタンドなどを例に説明します。でもって、そもそも光とは何か、波なのか粒子なのかの論争が長い間あったことも説明、現在では、粒子と波の両方の性質を併せ持つ光子のあつまりと考えられています。
20161005-2光を発するものは、太陽でもランプでも電気スタンドでも、粒と波の性質を合わせもつ光子を出しています。光子は、物質を構成する原子がもつ電子がエネルギー準位を変えたときに、その差に応じた波長をもって放出されます。この時、波長(f)と周波数(λ)の関係は以下のようになります。

λ・f=光速(一定)

私たちはこの周波数の違いによって色を感じています。普段、目にする光はいろいろな周波数の集まりです。
20161005-3うーん、難しくなってきました。がんばって話を進めます。次はレーザー光についてです。

レーザーはLight Amplification by Stimulated Emission of Radiationの頭文字を組み合わせたもので、レーザー光を発生する装置を指します。レーザー光は人工的に作り出された光の一種なのです。レーザー光を発生させるには、1)反転分布、2)誘導放出、3)光共振器、の3つの現象が必要になります。
20161005-41)ふつうは原子の周りにある電子は、一番低いエネルギー準位にいます。それを刺激して(励起するといいます)、電子のエネルギー準位が上がった状態に保つことを反転分布といいます。

2)反転分布状態の電子に光を当てると、エネルギー準位が下がって一段下の順位に移り、その時、エネルギー差に応じた周波数の光が出ます。この光が引き金となって、別の電子を刺激して光を発することがあります。これがまた次の電子を、、というように連鎖的に同じ波長の光を次々に発する状態が生まれます。これを誘導放出といいます。この時の光は、波長がきれいにそろった(コヒーレントなといいます)光になります。

3)1)と2)ではまだ十分な強さではありません。ここでちょっとアナロジーとしてオルゴールを使って説明しましょう。
20161005-5この手回しオルゴールを手にもってハンドルを回すと、きれいな音が出ますが、とても小さくてみんなには聞こえないでしょう。
20161005-6でもこれを教卓の上において、同じようのハンドルを回すと、ほら、みんなに聞こえるような音が出ます。
20161005-7これは共鳴ですよね。これと同じようなことをします。光共振器の利用です。1)と2)の過程を、2枚の鏡を向かい合わせた装置の中で行います。一枚の鏡は100%の反射率、反対側の鏡は95%の反射率を持たせると、発生した波長のそろった光は2つの反射鏡の間を往復しながら誘導放出を起こして強い光となり(レーザー共振)、その一部が一方の鏡を抜けて外に出ていきます。これがレーザー光になります。

1)から3)の過程を示す動画があったので載せておきます。

レーザー光が波長のそろった指向性の優れた、強い光であることを利用して、身近なところではバーコードスキャナー、レーザープリンター、CD/DVDのピックアップ、さらに医療用のレーザーメス、レーザー加工機(切断や彫刻)など、レーザー光はさまざまな分野で利用されています。出力の小さなものはレーザーポインター(指示棒)があります。今日はそのレーザーポインターを使って、光による通信について実験をして確認してみましょう。

ということで、指向性の優れたレーザービームを使って、光ファイバーの中をレーザー光が伝わっていくことを確かめてみます。牛乳を少し入れた水槽にレーザーポインターで光を当てると、きれいに光路が見えます。なるほど、なるほど。
20161005-8光ファイバーの中を、レーザービームは全反射によって外に漏れないで伝わっていきます。これを利用すれば例えばモールス信号を送ることができます。これもみんなで試してみましょう。
20161005-9最後に、みんなに光ファイバーを「お土産」に渡して、今日の授業は終わりです。
20161005-10ありがとうございました。お疲れさまでした。
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狛江市立第六小学校での活動

二宮洸三会員が、10月4日の午前に狛江市立第六小学校で、5年生3クラスの児童を対象に、「楽しい気象の変化」というタイトルで、理科の授業を行いました。

授業の流れは以下のようで、狛江市立第三小学校で行った授業の内容と大体同じです(9月15日掲載の活動記録を参照してください)。

1)理科学習の目的
2)気象の変化のとらえ方
3)日射の日変化と気象の日変化
4)気象の年変化・季節変化
5)低気圧の通過に伴う気象の変化
6)地球誕生以後の気候変化と近年の環境変化

今回は、7)として「目で観察できる気象現象(雲、虹、電光、雪結晶、植物の季節変化など」の項により多くの時間を割いて、美しい気象現象を見せることにしました。

雲は、高さと形によって10種類の分類されています。たとえば、上層に発生する雲には、巻雲(cirrus)、巻積雲(cirrocumulus)、巻層雲(cirrostratus)があります。横文字はラテン語由来の英語です。
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巻雲は日常語では「すじ雲」と呼びます。
cirrusclouds-georgia-oct1st写真はWikipediaより

巻積雲は「いわし雲」とか「うろこ雲」とか言います。
enjugahama_sea_and_sky_961104_img383写真はWikipediaより(撮影:唐山健志郎氏)

巻層雲は「うす雲」です。

10種類の残りの7つは、中層雲の高積雲、高層雲、乱層雲、下層雲の層積雲、層雲、対流運の積雲、積乱雲です。これら10種が類で、その下に種があり、さらにその下に変種があります。

こう見てくると、生物の分類体系に似ていますね。西洋的な、何かを分類して整理しようという思想は共通しているのでしょうね。

実際の授業ではこんなことを話したわけではなく、美しい雲の写真を見せました。次に虹、それから雪の結晶です。雪の結晶の研究の歴史は長く、たくさんの研究がありますが、中谷宇吉郎の名前をすぐに思い出しますね。ほかにも多くの日本の研究者が貢献しています。
20160906-10雪の結晶はなぜ六角形なのか、どうしてこのような形ができるのかなど、興味深いことがたくさんあります。こうしたちょっとしたことやものに感動して、いろいろと考えてみてくださいね。

狛江市立第三小学校での活動(3)

日江井榮二郎会員が、9月21日の午前に狛江市立第三小学校で、6年生2クラスの児童を対象に、「太陽の活動」と「自分の星を見つけよう」というタイトルで、理科の特別授業を行いました。

広い多目的室でプロジェクターや仕掛けを使った立体的な授業で、校長先生、副校長先生、担任の先生方、それに何人かの父兄の方々も聴講していました。

今回は6年生2クラスが一緒に2コマ連続で行い、国立天文台の太陽観測所の研究員である萩野正興氏が日江井会員のお手伝いとして参加されました。
国立天文台太陽観測所のページへのリンク

授業の前に教室に入ると、準備に余念がありません。多目的室の一方の壁際に並べた机の上には、直径2メートルもある大きな白い風船がおかれているのが目を引きます。どうやら白い風船はスクリーンになっているようです。
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廊下を通る児童も、これから何が起こるのだろうかと興味津々で、覗きながら通り過ぎていきます。
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6年生が教室に入ってきて座ります。日江井会員は何人かの児童に赤い細紐を渡して、教室の端から端まで張り渡すように頼んでいます。これはいったい何でしょうか。
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担任の先生から紹介されて、まずはごあいさつ。あれ、日江井会員ともう一人は白髪白髭の人が、、。どこから来たのかしら。胸には「フレア博士」という名札をつけています。

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そのフレア博士がトップバッターで、太陽のお話です。この教室は宇宙船で、みんなそれに乗って太陽の近くまで飛んでいこう、さあカウントダウン、スリー、ツー、ワン、発射ということで、目玉マークが写っていた大きな白い風船は、太陽に早変わりをします。
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太陽の表面(正しくは光球の表面)を、黒点がいくつも左から右(東から西)へ太陽の自転で移動していきます。そもそも太陽の大きさは地球のほぼ110倍で、このくらいの地球が(と小さな球を出して)横に110個並ぶことになります。だからこの黒点の大きさも随分と大きいことがわかりますね。

どの黒点にも、黒い部分と白い部分が見えますが、黒がS極、白がN極を表しています。太陽の表面に磁石があるんですねー。この黒点、11年周期で増減を繰り返しているんですって。太陽の表面温度はおよそ6000度、黒点は4000度なので、黒く見えるそうです。
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太陽は、地球のように固い構造ではなくプラズマ状態で、それが太陽の回転によって渦を巻くことで電流が発生し、それに伴って磁力が発生するそうです。こうして発生した複数の磁力線が浮力で部分的に表面から浮き上がり、温度が下がるために黒く見えることになります。

太陽よりも少し上空部分(といっても2000km)を彩層と呼び、太陽表面よりも温度が高いプラズマ大気層となっています。ここで虹の色の覚え方「赤橙黄緑青藍紫」と言い、一緒に覚えようと皆で声を出して繰り返しました。筆者が昔憶えたときは「赤」の代わりに「紅」でした。

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Hα線観測による上の写真で、濃い筋になっている部分をフィラメント、白い部分をフレアと呼びます。フレア(博士の名前の由来です)は主として黒点付近で発生する爆発現象です。ここからがフレア博士の本領、発揮。

フレアはいわば「太陽のおなら」のようなもので、小さなプッもあれば、大きなブッもあると言って、音を出して(もちろん口でです)その違いを強調します。大きいと影響も大きく、人工衛星の機械が故障したり、送電線に過電流が流れたり、大きな影響の例ではカナダのケベック州で発電所に火災が起きたそうです。

そんな一方で、オーロラを発生させて目を楽しませてくれたりします。
20160921-10地球上の天気予報のように、太陽黒点やフレアの予報が宇宙天気予報として出されています。フレア博士は精度を上げるために研究をしているのだそうです。

フレア博士のお話しが終わり、児童から「なんで天文に興味を持ったのですか」と問われて、ハレーすい星が地球に接近したときにお父さんに長野に連れて言ってもらったのだけれど、お天気が悪く見えなかった、それが悔しくてこの道に入った、とおっしゃっていました。
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短い休みに続いて、日江井会員のお話です。最初にみんなに見せたのは、鉄隕石、アンモナイトと恐竜の骨の化石で、手で触って観察するように手渡して回覧してもらいます。
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続いて「蝉、人、星の一生、宇宙の広さ」とタイトルがあるスライドを見せます。バックは龍安寺の石庭です。蝉や人にも一生があるように、星にも一生があるのです。
20160921-14最初のほうに書いた赤い紐を先生方に持ってもらい、一番端にある名札を読んでもらいます。そこには「ビッグバン」と書かれています。赤い紐は13.8mの長さで、宇宙が誕生してから今までの時間の長さ138億年を表しています。

太陽・地球の誕生は半分よりももっと進んだ46億年前、生命の誕生は40億年前、恐竜が跋扈した後滅んだのは6500万年前、ヒトの出現はずっとずっと端のほうと、印したものを見せて、宇宙の誕生から今までの時の長さを示しました。
20160921-15この紐の長さだと、1000年は1cm、人の一生は長くても100年でわずか0.1µmなんですね。

星の一生と、カニ星雲、惑星状星雲などの写真を見た後、
20160921-1620160921-17恒星の輝きは核融合反応によるもので、さまざまな原子は星が創ったものであること、私たちの体の中の原子も、むかし宇宙で輝いていた原子がまわりまわってやってきたものなので、君たちも星の子であると話をすすめます。星にはいろいろな輝きがあるように、みんなもかけがえのない自分流に輝くことができるんだよ、強調します。
20160921-18不思議な絵を見せて、みんなにどんなように見えるかを答えてもらいました。
20160921-19いろいろな答えが出ました。これも自分流でいいということでしょうか。

質問の時間になると、銀河の膨張、ブラックホール、地球の将来などのさまざまな質問がありました。「宇宙人はいますか?」という質問に、フレア博士は即座に「います。私たちが宇宙人です。」と答えていました。

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6年生全自動を代表してお礼の言葉が述べられました。

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楽しい理科特別授業でした。

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狛江市立第三小学校での活動(2)

堀良通氏が、9月15日の午前に狛江市立第三小学校で、5年生2クラスの児童を対象に、「植物の形とはたらき」というテーマで、理科の実験授業を行いました。

教室に入ると、児童が事前に採集してあった植物を選んで自分の席に持ち帰って着席しているところでした。さあ授業の始まりです。

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最初のあいさつののち、先生は黒板に「かたち」と「はたらき」と書きました。20160915-3すべての生物には形があり、それぞれの形には働きがあります。形とはたらきは、難しい言葉で言うと「形態」と「機能」です。今日は、植物から形とはたらきについて学びましょう。そして形とはたらきの間には密接な関係があることを理解しましょう。

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植物の形は、動物と違ってとても単純です。たった3つのパーツだけからできています。何だかわかるかな。ハイ、ハイと手が上がります。そうだね、茎、葉、根です。花は葉が変形したものです。

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そのことを実感するために、机の上にある植物体をスケッチしましょう、と言って画用紙を配ります。さあ、スケッチタイムの始まりです。

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机の間を回り、スケッチしている植物の名前を聞かれると答えていきます。オヒシバ、メヒシバ、エノコログサなど、など。

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スケッチが終わったら、それぞれのパーツ(茎、葉、根)の形や色、はたらきについて、思ったことでもいいから、わかる範囲で配布された表に書き込んでまとめます。

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みんなスケッチ、うまいですね。
先生の作った見本の表を配布して、茎と葉と根の形とはたらきについて、児童とやり取りをしながら考えていきます。茎は植物体を支えて水や栄養を通す、葉は光合成、根は水を吸収して植物体を地面に固定する、、。みんなよく答えています。

単子葉植物と双子葉植物では葉の形が違いますが、根の張り方も違います。

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これは植物の進化の話になりますが、これはこれから先で学ぶことです、楽しみですね。生き物のを見るときは、今日のことを思い出して、形とはたらきのことをいつも考えてみましょう。きっと生物を見る眼が今まで違って、面白くなりますよ。

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今日はありがとうございました。