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2026年8月 川口市立安行小学校での科学教室

当会の佐々田博之会員が、安行小学校のこどもエコクラブの活動の一環として、実験授業を行いました。

 2026年8月7日の10時から12時の間、「光の進み方」についての実験を行いました。光が直進することは3年生で学んでいますが、今回は中学で扱う屈折と反射を取り上げました。はじめに200 mLの水に400 gの砂糖を溶かして濃い砂糖水を作りました。これほどまでに大量の砂糖が水に溶けて透明になることにまず児童たちは驚いていました。そして、この砂糖水を真水の下にロートで静かに入れて二重の層を作りました。こうして、光の速さが異なる2層が水槽の中に重なってできました。

 LEDとレーザーポインター(後者は大人が操作)の光を二重層の界面に入射し、屈折、反射、そして全反射する光路の様子を観測しました。光速が異なる媒質の界面で光路が曲がることを解説し、さらに関連することがらとして、逃げ水、蜃気楼、浅く見える川の底、光ファイバーの説明も行いました。最後に、水で膨潤した玉(吸水性ポリマーが水を含んで膨れたもの)とビー玉を水に入れ、ビー玉の数のあてっこをしました。前者は光速が水と近いため水中では見えず、水から出すとたくさん玉が入っているのがわかり児童達は驚いていました。最高気温35℃と暑い日でしたが、子供たちは元気に実験を楽しんでいたのが印象的でした。

2026年7月 立教池袋中学校高等学校での活動

2026年7月25日12時30分より、立教池袋中学校高等学校にて科学部と生物部の合同研究発表会が開催されました。本会からは会員4名が参加して、発表を聴き、質問および助言等を行いました。各課題は発表9分・討論6分で行われ、計18題が披露されました。当日は最高気温36度の猛暑日となり、大変暑い日でありましたが、発表者以外の生徒、教員、そして発表者のご家族の方々も参加されて一大イベントとなっていました。

 中学1年生は入学してまだ3か月なのに興味深い課題に取り組んでいて今後の進展が期待できそうです。私ども会員は、専門家としての立場から、生徒さんが気づかないような視点でアドバイスをするように努めました。実験の条件設定など極力明確にし、何を得ようとしているのか分かりやすい実験を組むように期待したいと思います。高校生の中には実験の進め方が大学院生レベルに質が高く、外部のコンクールやコンテストに対応できそうな研究も複数見られ、楽しみに感じました。昨年のノーベル賞と関係するホットなテーマもあり、大変興味深く聞きました。他校のSSHなどでは探究活動が主要な教育目標になっているため、科学する楽しみや面白さが忘れられていることも往々にして見られますが、本校の部活動では実験や研究の本来の姿が垣間見られて、充実した活動がなされているようで、大いに期待したいと思います。

小林憲正理事が国際アストロバイオロジー学会のフェローに選出されました

当NPOの小林憲正理事が、本年7月6-10日にパリで行われた生命の起源に関する国際学会(Origins 2026)にて、ISSOL(International Society for the Study of the Origin of Life — The International Astrobiology Society、国際アストロバイオロジー学会)のフェローの称号を受けられました。ISSOL フェロー は、生命の起源・アストロバイオロジー分野への顕著かつ継続的な学術的貢献、および教育・学会活動への貢献を称えるものです。

 小林理事としては、先日ご紹介した生命の起源・アストロバイオロジー学会の学会賞に続く栄誉です。なお、日本人で同学会フェローの称号を受けられたのは1996年に筑波大学(当時)の原田馨先生が受けられて以来2人目です。SSISSとしてもお祝い申し上げるとともに、ますますのご活躍をお祈りいたします。  なお、小林理事のご業績については、例えば茂木健一郎氏がMCとなっているyoutube動画でも紹介されています。https://www.youtube.com/watch?v=vD-fSbZdotk

2026年6月 市川学園市川高等学校 SSH研究構想発表会に会員参加

2026年6月10日、12日、16日、17日の4日間、市川高等学校にて本年度のSSH研究構想発表会が行われ、本会会員が5名参加しました。今年の高校2年生は理科系希望者が多いとのことですが、一部文系の生徒さんも含めて約300名の生徒さんがポスター形式で発表を行っていました。

市川学園市川高校 入口のモニュメント

 それぞれの日において理科各分野の発表がありました。物理系では身近な現象をテーマとしたものが多く見られました。例えば、音響関連のテーマでは、バイオリンの音色からヒントを得て木材の材質が音に与える影響を調べるというテーマなどは興味深く感じました。化学系では地球環境関連のテーマ、例えば廃棄品の利用(バナナの皮で水を浄化、廃棄野菜から紙を作るなど)のテーマが多かったように思います。生物系ではイモリやミズクラゲといった動物を扱ったテーマ以外にも化学と近いようなテーマも多くみられました。比較的数は少ないものの、地学と数学関連のテーマを選んだ生徒さんも意欲的に発表をしており、これらの中にもかなりレベルの高い研究計画も見られました。12日には、文系志望の生徒さんでしょうか、スポーツや心理学、地名などに関する発表も見られました。発表時間が一時間半と限られているので、すべての発表を見ることは到底できませんでしたが、各会員はなるべく多くの生徒さんのポスターを回り、生徒さんに質問やアドバイスを行いました。生徒さん同士も活発に質問をされていて、大変頼もしく感じました。

校舎中心部にあるコミュニティプラザにてポスター発表を開催(写真は6月12日)

 今回は構想段階ですので、実際に実験・観察などに取り組むのはこれからという場合がほとんどでしょうが、すでに準備実験までやって、かなり計画が具体的な生徒さんも見受けられました。まだあまり計画が具体的でない生徒さんも見られましたが、今後に期待したいと思います。何がどのように分かっているのか、何が分かっていないのかをていねいに調べて理解するように、また既知の知見を自身で確認するための実験を組むなら、大もとの原著論文の実験方法を正確に真似ることが効果的とアドバイスをしました。実験研究の計画立案こそ、実験そのものの結果よりはずっと大きな意味があることも多いのです。今回訪問した市川高校はSSH校の中でも非常に探究テーマ教育を熱心に大掛かりにやっておられます。今後の日本を支える人材がたくさん輩出されることを期待しております。

以上

東村山市立東村山第三中学校での活動(2026年3月4日、本年度3回目)

 2026年3月4日に当会の進藤哲央会員が東村山市立東村山第三中学校にて、3年生の理科授業の最終回を利用して、放射線に関する授業を行いました。この日は、学校側に3年生の時間割を調整していただき、3年生の全4クラスに対して、それぞれ50分ずつの授業を2〜5限に実験室で行いました。まずは、この世界の物質の成り立ちと、放射線とは何か(特に、α線、β線、γ線の正体と、それぞれの性質の違い)についての簡単な講義を20分程度で行いました。放射線は特別なもののように思われていますが、実は地球上の岩石や大気中の物質からある程度の量の放射線は常に出ており、私たちはその中で暮らしているのです。
 放射線は目に見えませんが、霧箱という道具を使うと目で見ることができます。霧箱とは、アルファ線、ベータ線、ガンマ線等の痕跡を見ることができる道具です。容器内をエタノールの気体で充満させます。容器の上の方を温め、容器の下の方を冷却すると、容器の底のほうのエタノール蒸気が過飽和状態になります。この状態のエタノールは霧になりやすく、そこを放射線が通過する際に空気分子がイオン化し、そのイオンを核として霧が発生します。この、飛行機雲のように発生した霧の白い筋が放射線の痕跡として観測されます。

霧箱の原理
授業で使った霧箱。円形の窓から霧を観察します。霧箱の下部は冷却され、内部はLED照明がついていて見やすくなっています

 説明の後に実際に霧箱を用いて自然放射線の様子を20分程度観察してもらいました。観察後、どんな形の飛跡がどの放射線の痕跡であるかについて説明し、最後の10分間はマントルや天然鉱石の試料から出てくる放射線の様子を自由に観察してもらいました。授業終了のチャイムがなってもしばらく熱心に眺めている生徒たちもいました。

実際の霧箱で放射線を観測した時の写真。空気中のラドンに由来する、アルファ崩壊が連続で2回起きたときの飛跡を示しています。

 生徒たちは、自然放射線が思ったよりもたくさん見えることに驚いたり、微弱とはいえマントルや天然鉱石などの放射線源を霧箱にいれることで見られる派手な飛跡の様子を楽しんだりしていました。今回の授業が放射線についての正しい理解につながればいいと思っています。

以上

小林憲正理事が生命の起源・アストロバイオロジー学会の学会賞を受賞

当NPOの小林憲正理事が生命の起源・アストロバイオロジー学会の2025年度学会賞を受賞されました。同学会は2025年3月に「生命の起原および進化学会」から改称され、その後初めての学会賞の受賞者となりました。おめでとうございます。

2026年3月28日に同学会の第50回学術講演会が岡崎で開催され、「エクソ・アストロバイオロジー40年 ― SSOEL/JSOLAとともに ―」という題目で学会賞受賞記念公開講演をされました。

松田良一会員:ヒトに関わる学習中心に

以前もこの欄に日本の理科教育について意見を述べましたが、新聞にも関連した投稿を行ったことがあります。それを以下に掲載しておきます。

朝日新聞2015年4月8日「私の視点」より。朝日新聞の掲載許諾を頂きました。承諾番号26-0386。朝日新聞社に無断で転載することを禁じます。

千葉県立船橋高等学校での活動(2026年1月31日)

 千葉県立船橋高等学校はSSH校の指定を受けていますが、本年度の生徒の課題研究について、本会会員がサイエンスメンターとして研究指導の依頼を受け、2025年6月より複数回にわたり当該校に出向いて研究指導助言等を行ってきました。2026年1月31日に主に理数科1,2年の生徒80名の実験研究の成果の発表会が午前中2時間にわたって行われ、当会の町田武生会員と和田勝会員が質疑応答に当たってきました。発表会には他校の高校教員、SSH運営指導委員、サイエンスメンター、そして生徒の保護者など多数の方が参加されました。

県立船橋高等学校SSH発表会のポスター

 当日は計56件のポスター発表が行われ、それ等のうち生物11件を上記2名の会員が担当しました。いずれも校内の生物実験室で行われた実験研究で、それぞれ何をどのように明らかにするのかを良く考えて実施されていて、好感の持てるものが多かったように思います。ミジンコの心拍に対するNaClおよびEtOHの効果、さまざまな濃度の塩水でのボルボックスの生存、直流電流によるエンドウの成長、プラナリアでの電流による記憶形成、セイロンベンケイソウ栄養生殖の仕組み、タンポポ側根枝でのゴム生産など、さまざまな研究がありました。その中では、アミメアリのペパーミント嗜好性の発見、およびアマガエルの呼吸に対する気圧および湿度の影響の研究は、良く考え実験装置を製作して工夫を重ねた実験で、着眼点の新規性とともに新たな展開が期待できそうなものでした。1年生の中には英語での発表も複数あり、質問に対する回答もスムーズで、国外での発表も出来そうで頼もしく感じました。

ポスター発表の様子

 今回の発表の中には、伊豆大島の植物生態遷移の調査や千葉大学留学生の発表などあって、高校生には大きなインパクトがあったのではないかと思われました。発表会で発表することは生徒さんにとって大きな刺激になったと思われ、今後の展開が大いに期待されました。

以上

千葉県立佐倉高校での活動(2026年1月31日)

 2026年1月31日に佐々田博之会員が千葉県立佐倉高等学校にて、1年生の生徒7人に対して13時から2時間の時程で実験授業を行いました。高校の先生にも1人ご参加頂きました。「マイ分光器を作り光源の性質を調べよう」という題目で、13:00~15:00で簡易分光器を自作し、様々な光源を観測する実験を行いました。生徒たちは光の性質については未学習でしたので、まず光と分光器の原理と製作法の説明を40分程度行いました。

 分光器というのは、光を波長(つまり色)によって分ける道具です。そのためにはプリズムも使われますが、多くの場合回折格子(かいせつこうし)という非常に細かい溝が刻まれた板やフィルムが使われます。例えばCDやDVDの裏に光が当たると、虹色に輝いて見えますが、その場合はCD板の細かい構造が回折格子となっているのです。

実際の分光器で使われるガラス製回折格子 (今回の実験授業で用いたものではありません。)

授業の様子

 授業の後、自分たちで型紙に合わせて工作用紙を切り、回折格子シート(1 mmに500本の筋がつけられているもの)を貼り付けて、手製の分光器を作りました。皆手際が良く45分程度で全員完成しました。それぞれの生徒さんが作った分光器で照明(Hg入り蛍光灯、LED蛍光灯、スマホの照明)、太陽のフラウンホーファー線、スペクトルランプ(Ne, Ar, N2, O2, H2)、電球を観測しました。電球などは可視光の様々な波長の光が連続的に含まれるために、連続スペクトルが観測され、元素は固有の波長の線スペクトルを持つことを説明しました。スペクトルというのは、光源の光のうち、どの波長(色)がどれ位の強さで出ているのかを図にしたものです。光源の光には、青から赤にかけて可視光の範囲で連続的に光が出ているものと、各種の原子の発光のように特定の波長(色)の光が出ている場合があります。電球や太陽光は前者です。ただし、太陽の光は所々光が弱い波長があって(フラウンホーファー線)、その部分の元素が太陽表面(又は地球の大気)に存在して、それぞれの元素に特有の光が吸収されていることが分かります。

マイ分光器をつくって、様々なスペクトルを観測している様子

           様々なスペクトル

 生徒たちは、自作の装置で実際に様々な光源の光を観測し、綺麗なスペクトルが観測できて楽しんでいました。生徒たちには分光器を持ち帰って色々な光源を見るように勧めて、今回の実験授業を終了しました。皆さんお家で見られたでしょうか。

以上

第17回八王子市中学校科学コンクール研究発表会・表彰式での活動

八王子市中学校科学コンクールは、八王子市教育委員会と八王子市立中学校PTA連合会が主催し、八王子市立中学校校長会が後援、そして八王子に拠点を持つ(株)オリンパスとコニカミノルタサイエンスドーム、さらに私ども SSISSが協賛して毎年開催されています。もともとは八王子市立中学校PTA連合会が企画をして始まった活動とのことです。SSISSは当初から作品の審査や研究発表会・表彰式に参加し、生徒たちに質問・助言などを行ってきました。本年は17回目で、12月6日(土)に八王子市教育センターで開催されました。今年の開会式では、協賛の3団体の代表としてSSISSの町田理事長が挨拶をしました。

挨拶をする当会の町田理事長(左)と初宿八王子市長(右)

 このコンクールでは、各校から選ばれた3点ずつの計93点の応募作品の中から最優秀賞、優秀賞各1件ならびに6件の奨励賞が選ばれています。各賞の受賞者やその研究題目などは八王子市立中学校PTA連合会のホームページをご参照ください。当日はこれら8件のポスターが会場に掲出され、奨励賞6件はポスターの前での発表、最優秀賞と優秀賞はプロジェクターを使っての口頭発表が行われました。奨励賞6件のポスター発表については、参加者が全てのポスター発表を聞くことができるようにスケジュールが工夫されていました。この6件には開催団体からそれぞれの賞が与えられたました。さらに、協賛団体からは副賞品が授与され、私どもSSISSからは小林憲正会員著の「生命と非生命のあいだ」(講談社ブルーバックス、2024年刊)が9名の生徒(1件の発表は2人のチーム)に贈呈されました。また、本イベントの次年度の告知に使われるポスターイラストも併せて採用作品が紹介され、ポスターイラスト賞として表彰されました。

ポスター発表の様子 

 今年の奨励賞作品は、いずれも良く考えまとめられており、また発表もきちんと出来ていて、生徒たちの今後が期待されるものでした。特に本年は生徒自身の考えによるオリジナリティーあふれる研究が多かったように思います。例えば靴下の臭いをどうやったら除けるかとか、鶏の丸ごとの肉から骨格標本を作るとか、実生活にも関わりながら自分で工夫した成果が見られたことは大変喜ばしく感じました。発表によっては、取り組みの早い段階で、何をどうするのかの手立てを助言してやれば、一層良い作品に出来そうで歯がゆいところが見られた研究もありました。

(上) SSISS賞の授与
(下) 当日参加したSSISSの会員 (向かって右から二番目は八王子市立中学校校長会長の中嶋昭江別所中学校校長)

 八王子市中学校科学コンクールは、他に例のない優れた企画で、生徒の科学に対する志向を促す取り組みとして一層の発展が期待されます。