「活動記録」カテゴリーアーカイブ

千葉県立船橋高校での活動

6月10日の午後に、町田武生会員と和田勝会員が、船橋高等学校で行われた今年度の課題研究の計画発表会に参加して、質疑応答などを行い、最後に講評を行いました。生物実験室で行なわれた発表は全部で8件あり、事前に提出された4枚のスライドータイトルと演者、着想に至った背景、研究方法(計画)、仮説(何らかの根拠ある、予想される結果)ーにまとめられていて、4分で説明が行われ、1分の質疑応答がありました。

前年度は、実験が始められてから、途中経過を聞き、いろいろとアドバイスをしましたが、前年度の最後の話し合いで計画の段階からタッチしたいというう要望を出したため、今年度は、実験をはじめる前の計画段階からタッチすることができました。8件なので、それぞれのテーマを書いておきます。

「蟻の個体数がワーカーの分業に与える影響」「プラナリアの長期・短期記憶の存在の検討」「グレープフルーツを茹でることによるむきやすさの変化」「ウミホタルの溶媒のpHの違いによる照度の変化」「静電気が植物の成長に及ぼす影響」「環境条件と二ホンアマガエルの雨鳴きの回数について」「土壌の潅水量及びpHとタンポポの根の収量了割合との関係」「セイロンベンケイソウの不定芽形成の条件についての検討」

最後に二人から講評として、データのとり方と数量的な取り扱い、予備実験の必要性、などの全体的な注意点と、個々のテーマについての注意点などを話しました。

市川学園高等学校での活動(1)

SSH指定校である市川学園高等学校で行われた今年度の課題構想発表会に参加しました。スケジュールは以下の通りで、13日には、黒田、小林、和田が、16日には伊藤、進藤、町田、和田が、17日には伊藤、町田、和田が、18日には伊藤、町田、和田が参加しました。発表会には、SSISSの会員以外に他機関の教員、市川学園の教員、発表には当たっていない生徒も加わり、パネルの前で担当者の説明に聞き入りました。

スケジュール、13時10分〜15時
6月13日 物理:13 化学:13 生物:10 LA:6 
6月16日 数学:2 物理:16 化学:14 生物:17 地学:4
6月17日 数学:3 物理:19 化学:21 生物:14 地学:9
6月18日 数学:2 物理:25 化学:12 生物:26 地学:4
形式:ポスター:15分×3グループ×コアタイム2回
LAはリベラルアーツのことで、今回初めて文系の発表が6件ありました。

いわゆるポスターセッションではなく、ポスターを使用した「口頭発表」を意図しているように見受けられました。ポスター発表でよく言われる「1分の「概要説明」+質疑応答(質問部分を詳しく説明)」の繰り返しという考え方は浸透していないようで、こちらもそのつもりで聞きました。

「自分の研究」の発表にまだ慣れていないからだと思いますが、「自分の知っていることは聞き手(先生)も知っているはず」という姿勢でポスターを作り、発表しているように見受けられました。そのため、テーマに関する一番基本的なことが伝わってきません。口頭発表を想定しているのなら、導入部では、まず自分の知っている背景を聞き手と共有するところから始めてもらいたいと思います。このあたりは中間発表会あたりから少しずつ工夫して下さることでしょう。

授業としての課題研究の発表にコメントするのは難しく感じました。構想発表の段階では特にそうで、知識の背景も、意欲も、ここまでにかけた時間もさまざまなようです。すべての生徒が発表するとなると生徒の意識にも差があるので、生徒をディスカレッジしないようにと気を使いながら声をかけました。大学での卒業研究のようにある程度のバックグランドを(時には意欲も)もって取り組む大学学部や、意欲と関心のある生徒が集まっている部活動の研究指導とは異なります。

多くのテーマは素朴なきっかけや思いつきから始まっているようなので、限られた時間でどこまで到達できるかは未知数です。それでも、「おもしろい」ところに気がつくと、調べものも実験計画も前向きになれるでしょう。そこから何か発見があればそれでいいし、難しいテーマに取り組んでトライアル&エラーに終始してもそれはそれでいい経験になるだろうと思います。どんなテーマであっても、ユニークな点や、興味深そうな方向・可能性を引き出して、それを伸ばすことができるような質問やコメントができないか、こちらも一生懸命考えます。

一方で、「〇〇をする(作る)」のような合目的的なテーマ設定には「(自分の選んだ方法で)できる(作れる)かどうかを明らかにすることが研究」とたしなめ、難しすぎる問題に取り組んでいる場合には「やってみていろいろ難しい点がわかってきたら、それで一歩進んだことになる」のように伝えることもあります。たとえ予想どおりに進まなくても「ダメだ」と落ち込まないで、別の可能性を探るなど粘り強く取り組んでほしいと思います。

これから長い時間をかけて取り組むのでしょうが、だからこそ成果をもとめるよりも経過を楽しんでほしいと思いました。

(和田勝、伊藤眞人、坪村太郎)

千葉県立船橋高等学校での活動(6)

3月24日の午後に、町田武生会員と和田勝会員が、船橋高等学校で行われたメンター会議に出席しました。令和6年度の千葉県立船橋高等学校SSHの生徒の課題研究について、令和6年6月より6回にわたり当該校に出向いて研究指導助言等に当たってきましたが、その総括の協議会で、大学教授等5名のサイエンスメンターと教員等18名が集まり、課題研究の指導について議論し、今後の進め方を考えました。

5人のメンターには、事前に①本校生徒の課題研究の全体的な印象、②研究の各プロセス(「テーマの設定」「実験・観察」「考察」など)について感じたこと(改善点も含む)、③今後、本校の教員が研究指導に置いて留意したほうがよい点、④その他(SSH発表会について感じたこと等)について意見を求められていて、それらの回答とそれをうまくまとめたものが配布されました。

テーマ設定や実験計画立案については、何が分かっていて何が分からないのか、何を調べるべきなのかなど、既知の知見の理解不足のまま、実験に入ってしまう例が多かったことが指摘され、今後は事前準備を充実させる必要が指摘されました。

実際の実験研究では、データ収集の不足や実験結果の数的処理の必要性が指摘され、結果の処理や考察の不十分さを補う工夫が求められました。

研究のまとめ方や発表は良くできているが、研究としての論理の一貫性など、一層の研鑽が期待されます。

全体会議の後、各教科に分かれて、担当の教員と意見交換を行い巻いた。私ども2名の指導助言等はかなり効果があり、それぞれの研究のレベルアップが見られたと思われ、次年度も引き続きメンターを依頼したいとの意向でした。

千葉県高等学校課題研究発表会での活動

3月16日の午前9時から午後3時半まで、習志野市の東邦大学習志野キャンパスで開かれた、表記の発表会に町田武生会員と和田勝会員が参加しました。当日は雨でした。

この課題研究発表会は、千葉県内の理数教育拠点校である公立10校、私立2校が、理数教育の充実を目指して、生徒研究の発表の場を設け、生徒・教員の交流や情報交換を通して課題研究の活性化と指導改善を図るという趣旨で開催されたものです。会場での進行などはすべて生徒が行っていました。

199件の口頭発表およびポスター発表を、大学教員等25名が分担して審査等に当たりました。上記の会員は、午前中の口頭発表9件を分担して聞き質疑応答を行い、最後に講評を行いました。

午後のポスター発表では、教室の壁に貼られたポスターの前で、担当者の説明を聞き、議論しました。下の写真のように、机を寄せた壁際なのでスペースが狭く、込み合った感じでした。

市川学園や船橋高校での発表会ですでに見たポスターがいくつもありました。

当日配布された全発表の要旨集は、分厚いものでした。

質の高い優れた研究が少なくない一方、研究と言うには及ばない初歩的な実験観察の発表もあり、さまざまではありましたが、全体として前年よりレベルアップし向上している印象を受けました。県内のSSHと理数科設置校全てからなる‘サイエンススクールマグネット千葉’の活動として、今後がさらに期待できる取り組みでした。

発表会の終了後、ポスターを大事に抱えて帰っていく生徒を、大学校門の外からパチリ。

市川学園高等学校での活動(3)

3月14日の午後に、市川学園市川高等学校で行われたSSH年度末報告会に、伊藤真人、町田武生、和田勝会員が参加し、助言等をおこなってきました。

会場である体育館の広い空間一杯に、数学15、物理85、化学39、生物51、地学5件のポスターが整然と掲示されていて、圧巻です。全体を3つのグループに分け、2グループずつ20分の説明時間を設けて、順次説明を交代していくようになっています。

上記の会員は、それぞれの専門分野のポスターの前で発表者の説明を聞き、質疑応答などを行いました。今回が最終的な発表会で、どれも完成されたポスターに仕上がっています。計画の段階から何回か聞いたものもあり、よりよくなっているものが多数ありました。

仮説の立て方や、例数が十分ではないなどの弱点のあるものもありますが、総じて限られた時間内でよくやっていると思いました。今後の活動が楽しみです。

千葉県立佐倉高校での活動(4)

2月8日に佐々田博之会員が、千葉県立佐倉高等学校で「マイ分光器を作り光源の性質を調べよう」というタイトルで実験授業を行いました。実際に光の分光を観察できる分光器の作成を目標に、2校時(2 x 45分)を使ってで簡易分光器を自作してもらい、様々な光源を観測しました。授業の一環ではなく、定員20名の募集に応募した1年生(6名)と2年生 ( 3名)が参加しました。

波動はまだ学習していないので、スライドを使って波動の説明を15分ほどで済ませ、製作と観察をを優先させました、

光は波動です。波には「回折」と「干渉」という性質があります。

分光器は、この光の2つの性質を利用して、回折格子の細いスリットを通過して分光した光を観察する装置です。

光源から出た光は、回折格子を通ると回折して広がりますが、真ん中の0次はすべての波長が直進して進むので白色となり、その左右に対称のスペクトルが表れます。

実際の製作は次の通りです。型紙に合わせて工作用紙を切って四角い筒を作り、筒形の開口部の一方にスリットを作り、反対側の開口部に回折格子シート500 line/mmをはり付けます。スリットが直接、視野に入らないように山型のガイドをつけ、片側のスペクトルを観察します。

1時間で全員が完成させることができました。作成した分光器を使って、各種の照明装置の光(Hg入り蛍光灯、LED蛍光灯、スマホの照明)、太陽光のフラウンホーファー線、スペクトルランプ(Ne, Ar, N2, O2, H2)の光を観測しました。

連続スペクトルについて、また元素は固有の波長の線スペクトルを持つことを説明しました。自作の装置で、綺麗なスペクトルが観測できて、生徒達も楽しんでいました。

分光器を持ち帰って色々な光源を見るように勧めました。

千葉県立船橋高校での活動(5)

2月1日の午前9時10分から12時まで行われた、千葉県立船橋高等学校でのSSH課題研究成果発表会に、町田武生会員と和田勝会員が参加して、指導助言を行いました。この発表会は、SSH第4期1年目の課題研究成果の発表会で、理数科1・2年生全員と普通科1・2年生若干名が発表を行い、県内高校教員、市内小中学校教員、生徒保護者、近隣中学校生徒、千葉大学留学生、運営指導協議員およびサイエンスメンターなど、およそ120名が参加して実施されました。

全部で53件のポスター発表が、8つの会場で1時間5分ずつの2つの時間帯に分かれて行われました。2年生が一人で行う理数の研究は、物理が9、数学が6,化学が7,地学が6、生物が10件あり、1年生がグループで行う研究は、物理が2,化学が2,地学が2,生物が2、数学が1件でした。

これに加えて、今年度から始まった「未踏挑戦フィールドワーク」という分野のものが6件ありました。

これは未解決の社会課題に取り組む試みで、今年度は東日本大震災後に福島県が抱える諸問題をテーマに、13名の生徒が8月に3日間、実際に福島第一原子力発電所や四倉漁港を視察し、現地の人々と対話し、また福島県立安積高校の生徒と議論をしてその結果を発表しあいました。これらのことをまとめて6件のポスターとして英語で発表されました。ポスターの前で、千葉大学の留学生たちとの質疑応答する場面が見られました。

我々は生物のメンターとして、生物教室を会場とした生物の発表を聞き、質疑応答などを行いました(下の写真の3枚目は船橋高校SSHページより借用)。いずれの発表も、最初のころからはずっと進展して、それなりにまとめられていました。

10件のうち、これまで4回あった相談の場に来た生徒の5件を指導助言してきましたが、十分に効果があったとは言えないところもあり、残念に思いました。書物や文献を十分に読んでいなくて、何のために何をするのかが曖昧なまま実験研究に取り組み、得られた結果の解釈ができていない例や、実験例数が少なく数値処理ができない例、要因が複雑で明確な結果が得られない例などがあったことです。また、植物を対象とした研究が多い中、動物が専門の我々だけで対応する今回のメンターシステムには若干の無理があったのかもしれません。今後、改善されるといいと思います。

生物の研究の場合、つねに「ばらつき」の問題があり、どうやって数値化して有意な差があることを確認すのかなど、実験計画の立て方、予備実験の必要性など、実験研究の進め方の指導が必要なのではないかと感じました。

会場が生物教室なので、水生動物が飼育されていました。そのうちの一つに、ウーパールーパーがいました。正式名称はメキシコサンショウウオ、英語名Axolotlですが、日本で一時期、ウーパールーパーとしてテレビなどで流行ったことを思い出しました。

船橋高校の生徒さんたちと来場者で、会場はかなり込み合っていて、発表会としては成功したのではないかと思いました。

県立相模原弥栄高等学校での活動

1月27日の午後に、小林憲正会員が神奈川県立相模原弥栄高等学校の「弥栄ワンダーラボ」(UZUME講座)の一環として、全学科・全学年向けに対して講義を行いました。この高校には、普通科(G)のほかにスポーツ科学科(S)、美術科(A)、音楽科(M)が置かれていて、それぞれの学科の英語名の頭文字をとって、SAGMとしゃれています。下の写真の垂れ幕にあるように、スポーツ特にサッカーが盛んで、多くのサッカープレイヤーを輩出しています(例えば川澄奈穂美)。

講義は「化学で探る生命の起源と地球外生命」というタイトルで、 1時間半の講演を前半と後半に分け、スライドを使って行いました。前半は「生命の起源や太陽系についてわかったこと」、後半は「生命の起源や地球外生命について、わかっていないこと」としました。部活の時間と重なったこともあり、聴講した生徒は多くありませんでしたが、美術科の生徒の参加もあり、また佐藤校長,PTA広報委員も参加してくれました。

前半部分では、地球に生命が誕生し進化してきたこと、地球上には多様な生物が生息しているが共通の特徴を備えていること、そのもとになったアミノ酸や核酸はどのようにして生じたのか、地球外にも生命のもとはあるのか(はやぶさ2の成果)、などのお話をしました。

後半では、右と左の問題、タンパク質と核酸のどちらが先に生まれたかか、地球に生命誕生の痕跡は残っていない、太陽系以外の生命は探せるの?

JAXAの月探査計画UZUMEによる調査が、手掛かりを与えてくれるかもしれないと話しました。火星にも月と同様に縦孔があります。

講演後に、質疑応答を行いました。

スライドの最後に、茂木健一郎さんと対談したYouTubeの動画が引用されています。1時間15分ほどで長いのですが、リンクを張っておきます。

第16回八王子市立中学校科学コンクール発表会・表彰式での活動

第16回八王子市中学校科学コンクール発表会と表彰式が、11月30日午後1時から4時まで、八王子教育センターで開催され、SSISS会員の伊藤眞人、大井みさほ、奥田治之、小林憲正、佐々田博之、進藤哲央、坪村太郎、西原 寛、 町田武生、和田 勝の10名が出席しました。

このコンクールは主催が八王子市教育委員会と八王子市立中学校PTA連合会、後援が八王子市立中学校長会で、オリンパス株式会社、NPO法人SSISS(科学技術振興のための教育改革支援計画)、コニカミノルタサイエンスドームが協賛をしています。

今年度は、33校から69題の自由研究作品が提出され、その中から先生たちによって最優秀賞1件、優秀賞1件、審査員特別奨励賞6件、ポスターイラスト賞2件、佳作12件が選考されました。

研究発表会・表彰式の開会式では、八王子市教育委員会の上野さんによる開会宣言で始まり、続いて参加団体の紹介が行われ、主催者である八王子市中学校PTA連合会の廣田貴子会長の挨拶がありました。続いて協賛団体を代表してオリンパス株式会社担当役員田代芳夫さんの挨拶があり、そののち来賓の紹介がありました。最後にこの1月に選出されたばかりの初宿(しやけ)和夫市長からの挨拶があり、開会式が終了し、受賞者と来賓たちの勢ぞろいの記念写真撮影が行われました。

開会式終了後、いよいよ発表会です。初めに奨励賞のポスターセッションが行われました。奨励賞は以下の6件です。

 「グリーンカーテンを使った快適な部屋づくり」
   松木中学校1年 大橋夏歩
 「風車の羽の形と生み出す力に関係はあるのか」
   七国中学校1年 中村郁杜
 「グラスハープ1音にかかる質量(g)と容積(ml)の関係を探る」
   中山中学校3年 奥村柴乃
 「環境推定研究-相模川で採掘した示相化石からー」
   南野中学校2年 石毛陽菜月
 「よみがえる野菜の秘密-野菜廃棄部から野菜を再生できるのか」
   松木中学校3年 笹原來実
 「浅川の魅力 GASA GASA」
   打越中学校3年 荒井柚花

下は、ポスター発表時の写真を、上の順に並べたものです(クリックすると拡大されます)。どの研究も、興味深いものでした。

6題を2つに分け、それぞれ10分ずつの発表が3回行われました。参加者はポスターの前に集まって説明を聞き、質問したりしました。

どの研究も、身近なことの疑問や触れたことから、例えば旅行先でサービスエリアにあったグリーンシェードを使った部屋に入ったら涼しかったことから、グリーンカーテンの効果を実際に作って試してみたり、河原で見つけた化石から過去の河川敷の環境を推定したりと、研究を進めていて、好感が持てました。

発表終了後、関係者は別室に移って協議し、審査員特別奨励賞のなかから、教育長賞、オリンパス賞、SSISS賞、コニカミノルタサイエンスドーム賞、校長会賞、中P連会長賞を選考しました。

その後、優秀賞、最優秀賞の順で、パワーポイントのスライドを使った15分間の発表・質疑応答が行われました。

  優秀賞 「骨を伝って音を聞くー骨伝導ー」
   第六中学校2年 次田優希
  最優秀賞「野球のバントをするときのコツを明らかにする研究」
   七国中学校1年 長尾 錬

優秀賞の骨伝導の研究は、父親が骨伝導イヤホンを使って音楽を聴いていたので、耳を使わずにどうやって音を聞いているのか不思議に思い、研究を始めたそうです。また最優秀賞のノックの研究では、中学に入って野球部に入部したが、練習でノックがうまくできないので、そのコツを知るために、ピッチングマシンとバット固定装置を自作して、さらにボールの軌道を判定するフィールドまで作成し、バットにボールを当てる位置、バットの前後上下の角度を変えて、打ち返したボールの軌道を求めています。こちらも身近なことから疑問や問題点を持ち、研究を進めていて素晴らしいと思いました。

すべての発表が終わった後、表彰式が行われました。最優秀賞には賞状とともにトロフィーと金メダル、優秀賞には賞状と銀メダル、奨励賞には賞状と銅メダルが授与されました。

また、SSISSからは副賞として、すべての受賞者にSSISS理事長の西原 寛・中田宗隆編著の「教養の化学―生命・環境・エネルギー」とSSISS理事の小林憲正著の「生命と非生命のあいだ ―地球で「奇跡」は起きたのか」が副賞として贈られました。

奨励賞の6件には、はそれぞれ教育長・オリンパス・SSISS・校長会・中P連会長・サイエンスドーム賞として表彰状を送っています(詳細は省略)。SSISS賞には、中山中学校3年の奥村紫乃さんの「グラスハープ1音にかかる質量と容積の関係を探る」を選定しています。

奥村さんは絶対音階の持ち主で、グラスハープの音色を聞き分け、下の写真のように一音階を再現しています。グラス内の水の量によって音階ができますが、SSISS会員の間で、ポスターセッションが終わった後も、なぜ水の量が多く空間の少ないほうが低い音なのか、議論してしまいました。縁を擦ることにより空間が振動して音を出すのだと思っていたのですが、実際はワイングラスが振動して音を出すようです。グラスの固有振動数は重量によって変わるので、重いほど振動数は小さくなり、音は低くなります。比重の異なる液体でも、ゼリー状にしても、液量は少し異なるが同様な結果でした。要するに、グラスの重さがカギなのですね。参考になる文献はここに

グラスハープでこんな音楽が奏でられるんですね。ちょっと脱線しました。

その後、SSISS代表として西原 寛理事長が講評を行いました。

ついで校長会上田 太校長の総括、中P連の荒木美奈副会長の謝辞、閉会宣言が行われて閉会しました。最後に受賞した生徒さんの集合写真、晴れやかな笑顔の写真、を撮影しました。  

一番最後に、今回参加したSSISS会員(十勇士)の写真を撮ってもらいました。9人しか写っていないのは、奥田会員が写真を撮る前に帰られたからです、残念。

市川学園市川高等学校での活動(2)

市川学園市川高等学校は、今年度から4期目のSSH指定を受け、2年生のうち理系生徒が課題研究を行うことになり、テーマ設定に向けて先行研究の調査を行い、それをもとに研究構想を練り上げて発表するポスター発表会が6月14日、17日、18日、19日と4日間にわたり、学園のコミュにティープラザで行わたことはすでに報告しました。この後、生徒たちは実験を実施し、ある程度まとまったものを口頭で発表する催しが、11月26日、27日、29日、12月2日の4日間にわたっておこなわれました。SSISSからは、伊藤眞人、小林憲正、進藤哲央、町田武生、和田 勝会員が参加し、質疑応答、指導助言を行いました。

数学、物理学、化学、生物学、地学の分野の、合計222件の発表が4日間にわたり、各日8会場で実施されました。会場が離れているために、それぞれの会員は、離れた会場へと移動を繰り返し、それぞれ実質8分の1以下にしか参加できませんでした。口頭発表は、座長や発表時間の管理などすべて生徒が運営していて、会場で聴いている生徒はほとんど移動していなかったので、口頭発表の訓練の側面があったものと思われます。

さて発表の内容ですが、極めてレベルの高い研究から初歩的なものまでと、さまざまな取り組みに触れることができ、生徒の実験研究に対する認識と旺盛な意欲とを知ることができました。ただし、その研究を行う意味、意義、必然性の詰めが甘い例や、研究計画の立案にあたって何をどのように調べればどのような結果が得られるかを、十分に考えていない例が散見され、やや残念に感じましたが、総じて発表はどれも良く考えられ準備されていて見事でした。

この発表会会期中の11月29日に、教員情報交換会が開催され、他校の教員等との意見交換がなされました。30名を超える理科教員を擁する当該校の課題研究の進め方、指導体制等が詳細に紹介され、研究の論理性、研究倫理の重要性などが強調されていました。懇談の中では、理科実験室を生徒が自由に使えるように開放して効果を上げていることが披露され、交換会に参加した各学校に大きなインパクトを与えていました。

発表会とは全く関係がないのですが、始まる前に待機のために案内された図書室の閲覧室の一角に、こたつの置いてある和室風の閲覧コーナーがありました。ちょっといい感じ。