千葉県高校課題研究発表会

3月16日に、町田武生会員と和田勝会員が、千葉工業大学津田沼キャンパスでで行われた課題研究発表会に参加して、助言活動を行いました。

これは、SSHコンソーシアム千葉とサイエンススクールネット千葉主催による千葉県SSH指定校と理数科を設置している高等学校12校の生徒による課題研究発表会で、指導・助言者として上記2名が参加しました。我々以外に、県内外の大学などから21名の指導助言者が参加していました。受付で分厚い「千葉県高等学校課題研究発表会発表要旨集」と実施要項、それとコメントを書き込む用紙を挟んだバインダーが渡されました。指導助言者控室で打ち合わせがあり、各会場に分かれました。

午前中は口頭発で、物理10、化学12,生物13,地学7,数学・情報8件の発表があり、指定された生物会場2での割り振られた生物4課題の発表に対して指導・助言を行いました。下の写真は口頭発表会場の始まる前の風景です。

午後はポスター発表があり、物理52,化学53、生物65、地学18、数学・情報29、合計217件の発表がありました。生物65課題は前半と後半に分かれてポスター前での説明があり、我々は生物の2会場を回って、説明係の説明を聞き、コメントをしました。

課題のすべてを発表者の説明を聞き、ディスカッションすることはできなかったっが、やり取りをしたものはコメントシートに記入して提出しました。いずれの発表も熱心に取り組んでいる様子がうかがえました。ただ、実験計画が十分に考えてたてられていなかったり、ポスターに載せられたグラフの表示方法など、改善が必要だと思われるものもありました。

東村山第三中学校での活動(6)

2024年3月6日に、進藤哲央会員が東村山市立第三中学校で「原子の世界と放射線」というタイトルで、3年生全員を対象に、4クラスに分けて理科の出前授業を行いました。受講した生徒は40名のクラスで4回なので、トータル160名でした。一時的見学を含めて、先生も3-4名参加しています。

今回は「原子の世界と放射線」というタイトルで、ミクロな世界についてのお話や、不安定な原子核の崩壊とその時にでてくる放射線についての授業で、持参したGM計数管や霧箱を用いて放射線の様子を観察してみるという50分間の授業でした。

授業の初めに、1977年にイームズ事務所が作成した「Powers of Ten」の動画を視聴し、自然界の様々なスケールで現れる物理的様相を概観しました。この動画は、視点が10ずつ拡大して芝生に座った人から宇宙まで飛行したのち、再び元に戻って今度はヒトの体内に入っていき、原子核までたどり着くという動画です。授業では、ミクロな世界にフォーカスして、原子・分子・原子核あたりの話を中心に講義しました。

特に、原子核を構成する中性子の数が異なる、同位体と呼ばれる原子が存在することを説明しました。下の図は、「Powers of Ten」で表示されている、たぶん炭素原子の核の構造です。

不安定な原子核は、一定の寿命・半減期で崩壊して、その際にアルファ線やベータ線、ガンマ線などを放出すること、これらの放射線の正体は高エネルギーで飛び出してくるヘリウム原子核、電子、光などであることなどを解説しました(下の図は、ここからお借りしています)。

実験として、GM計数管を用いると、教室内で1分間に約20カウント程度が測定できることを実演してみせ、前撮りしておいた放射線源を用いたGM計数管を用いた測定の様子を動画で見せて、放射線の種類による物質の透過力の違いを実感してもらいました。

筆者は、RI室に入るときにこんなGM計数管を使っていましたが、今はこんな小さなガイガーカウンターがあるんですね。

最後に、持参した霧箱を用いて、天然鉱物から出てくる放射線の痕跡を実際に見てもらいました。霧箱で放射線の痕跡が見えるの原理は次の図の通りです(下の図は原子力科学館のページからお借りしました)。

この動画は東京都健康安全研究センターが作成したもので、そこからお借りしています。