千葉県立佐倉高校での活動

2月12日午後に、奥田治之会員が千葉県立佐倉高校で「銀河中心に巨大ブラックホールを追う」というタイトルで出前授業を行いました。あいにく日曜日に設定されていたので、受講した生徒は1,2年生の16名でした。先生も3名参加しています。

初めに、基礎知識として天文学で取り扱う慣用的な単位(距離、質量、エネルギー、角度、等級)を説明し、それらの幅の広い数値を表示するためには、指数表示、対数表示が使われることを紹介しました。

続いて、昔から謎めいた天体であった天の川銀河の構造が、電波、X線、赤外線などの観測によって次第に明らかにされてきたことを述べました。特に、宇宙塵の強い吸収によって不可視だった銀河中心の構造が、透過力の良い赤外線によって、星、宇宙塵(ダスト)の分布などの全体像が明らかになるとともに、超精密解像度の赤外線観測によって、中心核に星の公転運動が検出され、太陽質量の400万倍の質量集中が存在することが解かり、巨大ブラックホールの存在が予言されるまでに至ったことを述べました。

「上の図の説明:天の川銀河の模式図。渦巻き構造を持ち、横から見ると、どら焼きのような形をしている。中心には巨大ブラックホールがあると考えられてきた(加藤恒彦氏、国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクト、国立天文台、アルマ計画提供)Science Portalより転載させていただきました。」

最近になり、地球規模の電波干渉計によって、その真の大きさが確定されて、ブラックホールであることが証明されたことを紹介しました。さらに、2022年にはブラックホールの撮影に成功しています。

「史上初の天の川銀河中心のブラックホールの画像。これは、私たちが住む天の川銀河の中心にある巨大ブラックホール、いて座A*の姿を初めて捉えた画像です。国立天文台のページより

途中、これらの研究過程で利用された天体の回転運動の法則、ドップラー効果などを簡単な小道具で、デモ実験などを交えて説明しました。

授業はほぼ1時間程度で終わり、あとは生徒、先生からの質問を受け、議論をすることに費やしました。

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