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第14回八王子市中学校科学コンクール発表会に参加

12月3日に八王子教育センターで開催された、第14回八王子市中学校科学コンクールに、大井みさほ、奥田治之、西原 寛、町田武生会員が出席しました。このコンクールは主催:八王子市教育委員会、八王子市立中学校PTA連合会、後援:八王子市立中学校長会、協賛:オリンパス株式会社、NPO法人SSISS(科学技術振興のための教育改革支援計画)で実施されたものです。今年度も参加者数を制限して開催されました。また、YouTubeで登録をした人に公開されました。会場は教育センターの3階です。

35校の八王子市立中学校から自由研究作品が提出され、その中から先生たちによって、最優秀賞1件、優秀賞1件、奨励賞3件、佳作15件、来年度のためのポスターイラスト賞2件が選考され、入口に参加小作品と共に飾られています。

優秀賞と奨励賞のポスターです。

当日は、選ばれた5件の作品の研究発表会と、それぞれの賞の表彰式が行われました。下は開会前の来賓等の勢揃いの写真です。左から4人目がSSISS西原寛理事長です。

定刻の1時に八王子市教育委員会指導担当部長の開会の宣言とあいさつがあり、その後主催者である八王子市立中学校PTA連合会守屋香里会長のあいさつがありました。

続いてオリンパス株式会社執行役員田代芳夫さん、来賓の八王子市長石森孝志さんのあいさつがあり、研究発表会に移りました。

各賞の受賞者は以下の通りです。発表は奨励賞3件、優秀賞、最優秀賞の順で行われました。各発表の持ち時間はそれぞれ質疑応答を含めて15分です。スライドを使ったプレゼンは、それぞれ練習の成果を発揮して、わかりやすく上手にまとめていました。
・最優秀賞「食材に生えるカビについて ~カビの生えやすい食材・環境とは~」
    石川中学校3年 遠藤陽介
・優秀賞「葉っぱが水をはじく力の研究」
    川口中学校1年 谷口葉波
・奨励賞「ボールの飛距離と角度と重さの関係」
    いずみの森中学校2年 三浦拓巳
・奨励賞「もののたおれる仕組みについて」
    由木中学校1年 山本陽菜
・奨励賞「メントス・ガイザーの秘密に挑む」
    みなみ野中学校2年 石淵大地

優秀賞の発表の様子。

最優秀賞の発表の様子。

発表後の質疑応答の時間には、SSISSの会員から質問が多数ありました。中には難しい質問もあったようですが、今後の研究の発展への期待を込めたものだったと聞いています。

すべての発表が終了した後、プレゼンテーション賞の選考の審議が行われ、その後表彰式が行われました。最優秀賞、優秀賞、それと3件の奨励賞が、教育委員会西山豪一さんから授与されました。

プレゼンテーション賞としてSSISS賞は「ボールの飛距離と角度と重さの関係」いずみの森中学校2年を発表した三浦拓巳さんに贈られました。

最後に、受賞者5名を囲んで主催者・共催者との記念撮影。その時の写真です(写真は中P連からの提供です)。広角レンズなので両側が大きくなってしまっていますが補正できませんでした。受賞者の顔にぼかしを入れています。SSISSの理事長に加えて他の参加者も写っているので、ここに載せました。

なお、9月3日に行われた中P連との打合せの記事に既に書きましたが、5名の受賞者すべての方に副賞として小林憲正理事が昨年末に刊行した中公新書の「地球外生命ーアストロバイオロジーで探る生命の起源と未来」を贈りました。

東村山第一中学校での活動

大井みさほ、奥田治之、小林憲正、佐々田博之、西原寛、和田勝会員が、11月9日の午後に、東村山第一中学校で、2年生の生徒115名に対して実験授業を行いました。この活動は「東村山夢と希望プロジェクト」から依頼されて行う出前授業で、2年生の生徒全員が6つに分かれて、それぞれのテーマを午後の1コマの授業で行いました。上記会員のほかに、町田武生、進藤哲夫会員と髙田健司東京理科大学助教さんが助っ人として加わりました。

実際の活動前に、Zoomによるリモート会議を同校の校長先生と理科担当の先生を加えて2回行い、またメールのやり取りにより内容や準備の相談を行いました。

授業は昼休み後の午後13時30分から14時20分まででしたが、各会員ともに午前12時過ぎに学校に集まり、ひと休み後に各教室に分かれて準備を行いました。当日のテーマは以下の通りです。西原寛会員「金属の不思議-金の色を変えてみよう-」、和田勝会員「ゾウリムシで遊ぼう、学ぼう」、小林憲正会員「宇宙人は左きき?-生命の起源を右と左で考える-」、大井みさほ会員「光の進み方を調べてみよう」、奥田治之会員「日時計の仕組み」、佐々田博之会員「マイ分光器を作ろう」。各会員からの報告書と、町田武生会員撮影の写真と海老塚校長先生より頂いた写真で、当日の模様を再現してみます。

「金属の不思議-金の色を変えてみよう」
同じ物質でも原子の集まり方によって、色が変わることを、金を用いて観察することを授業内容としました。実験に入る前に、中学2年生で学習した「酸化」と「還元」の定義の拡張(高校レベル)を教えました。次に金の原子の集め方として、酸化された金(塩化金酸)の水溶液に還元剤を加えると、生じた金の原子が凝集する方法があることを教え、実験内容として、還元剤としてクエン酸ナトリウム(還元剤1)を用いると、凝集が途中で止まって直径10~100 nmの金のナノ粒子が生成すること(実験1)、水素化ホウ素ナトリウム(還元剤2)を用いると、それよりずっと大きな金のかたまりを生成すること(実験2)を説明しました。
4名ずつで班をつくり、5班で2つの実験を行いました。実験1では、ガスバーナーで加熱して酸化された金の水溶液に、還元剤1を加え、色の変化を観察しました。最終的に濃い赤色の溶液となることを理解しました。実験2では、固体の還元剤2に酸化された金の水溶液を加え、生じた黒い沈殿を取り出して擦り、金色に輝く固体であることを理解しました。2つの実験を通して、酸化された金の還元による金原子の集まり方によって、色が異なることを理解できたと思います。 最後に、実験で観察したことが何故雄なるのかを説明して、生徒の感想を聞いて、授業を終了しました。

「ゾウリムシで遊ぼう、学ぼう」
単細胞生物であるゾウリムシの、運動(遊泳)、摂食(食物の取り込みと食胞形成)を観察し、授業で学習した多細胞生物ヒトのそれぞれの機能と比較しながら説明しました。
最初はシャーレに取り分けたゾウリムシを肉眼で眺め、次にスライドグラスにゾウリムシを含む水を一滴、滴下し、カバーグラスをかけて観察してもらいました。ゾウリムシがどのように遊泳しているかを観察してもらい、どうしてこのような運動が起こるかを考えさせました。次に塩化ニッケル水溶液を加えると繊毛運動が停止することを観察しました。ヒトでは繊毛は気管上皮細胞にあって、吸入した異物を粘液が捕捉して繊毛運動によって口に戻して痰として吐き出すことを説明しました。また10㎝程の2本の細いビニールチューブを両端と真ん中の3か所を輪ゴムで束ね、片方をずらすとチューブが曲がることを示して、繊毛の中にもこのようなチューブが9本(真ん中には2本)あって、ずれることによって屈曲することを説明しました。ここにはエネルギーが必要で、塩化ニッケルはそれを阻害するために運動が停止することも付け加えました。
次に、あらかじめ用意しておいた乾燥酵母菌をコンゴーレッドで染色したものを与え、ゾウリムシが食胞として取り込むことを観察してもらいました。体の中が赤くなっている、という声が上がったので、観察できたのだろうと思います。食胞として取り込まれてその中で消化されることを説明し、ヒトではどのように消化しているかを説明しました。ヒトの場合は消化酵素を細胞外(消化管の中)へ分泌し、消化してアミノ酸やグルコースになったものを小腸の絨毛上皮細胞から取り込んでいることを説明しました。 最後に単細胞生物は、一つの細胞ですべてをこなすが、多細胞生物では分業していることを説明しました。50分と時間が短く、予定したか第3つのうち2つしかできず、また問いかけをして考えてもらうというというプロセスもほとんどできなかったのが残念でした。

「宇宙人は左きき?-生命の起源を右と左で考える-」
4名ずつ5班に分かれてもらい、分子模型セット、コガネムシ、左右円偏光フィルター、鏡を各班毎、パワーポイントのハンドアウトと質問の解答用紙を各生徒に配布しました。
まず生命とは何か、生命がどのように誕生したかについて、これまでどこまでわかっているか、その中で、アミノ酸のような生体分子が左右対称でないことが重要であること等を解説しました。
実習としては、分子模型を使って4つの結合手をもった炭素原子に4つの異なる原子(団)を結合させた場合、2種類の分子(鏡像異性体)が可能なことを確かめました。次に、コガネムシの翅を左右円偏光フィルターを通して観察すると異なった色に見えること、鏡に写した場合は結果が逆になることを確認してもらいました。これらのことから、地球生命が分子レベルで非対称であること、それが生命の本質に関係することを考えてもらいました。 後半は、地球外生命の存在の可能性について考えてもらいました。太陽系でも火星、エウロパなどの天体に生命が存在するかもしれないこと、その探査が行われていることを紹介しました。火星や金星には、かつて地球に似た環境があったが、現在はその環境が大きく変わってしまっったことなどから、地球外生命を考えることは、私たちの環境・文明を護っていくことにも通じることを理解してもらいました。

「光の進み方を調べてみよう」
光の進み方を調べるというテーマで、初めにレーザーについてその原理などを説明しました。
次に、レーザーポインターの光とふつうの光の進み方を示した後、生徒たちに空気中と、牛乳を入れて少し濁らせた水中をレーザーポインターから照射した光が、どのように進むか、どのように反射するかを観察してもらいました。照射する角度によって、光束は全反射することを確認してもらいました。
その上で、光ファイバーの中を光はどのように進んで、長い距離を端から端まで届くのかを考えてもらい、観察してもらいました。

「日時計の仕組み」
日時計の原理を説明し、代表的な日時計の型を示し、実際例の写真を見せながら、日時計の歴史などを紹介しました。その後、紙細工の日時計の制作を行ってもらいましたが、生徒全員がやや複雑な型を選んだため、制作に時間がかかりすぎて、完成には至りませんした。
そのため、室外での実地試験の余裕がなくなってしまい、持って行った自作の日時計で、実際の太陽光にあて、動作を確認して見せました。そのあと、日時計の持つ特性(季節による進み、遅れ)や、それと、地球の公転、自転との関係を説明しましたが、十分な時間が取れなくて、丁寧な説明はできませんでした。実験、工作を含む授業では時間の余裕が必要と思われました。

「マイ分光器を作ろう」
「マイ分光器を作ろう」という題目で1校時(45分)で簡易分光器を自作し、室内照明光と太陽光を観測しました。
時間が短いので、説明は5分程度で済ませ、製作を優先しました。作業をある程度済ませておいた型紙を折り曲げ、回折格子シート500 line/mmをはり付けてもらいました。早い生徒は15分で作り、30分で全員(19人)が完成しました。
分光器で照明(LED蛍光灯)、太陽(フラウンホーファー線)を観測しました。連続スペクトル、元素は固有の波長の線スペクトルを持つことを説明し、天文学で遠くの物質を同定できる理由を述べました。自作の装置で綺麗なスペクトルが観測できて、生徒達も楽しんでいたようです。

出前授業の終了後、SSISS会員と髙田さん、東村山市立中学校の理科の教諭が一堂に集まり、反省会と意見交換を行いました。様々な意見や要望がだされ、SSISSとは今後とも対応していくつもりです、と応えました。

八王子市立中学校PTA連合会との打ち合わせ

9月3日の午後1時30分から、八王子市立PTA連合会の役員の方々と、今年度の八王子市立中学校科学コンクールへの協力について打ち合わせを、ZoomによるWeb会議で行いました。PTA連合会からは、守屋会長をはじめとして黒澤、岩崎、廣田、久保さんの5名の方々が、SSISSからは西原寛理事長をはじめとして小林憲正、佐々田博之、町田武生、和田勝の各理事、大井みさほ、奥田治之の各監事、有山正孝参与の8名が参加しました。

八王子市立中学校科学コンクールは、八王子市教育委員会と八王子市中学校PTA連合会の主催、中学校長会の後援で行われ、今年は第14回になります。SSISSはこれまでと同様、オリンパス株式会社と共にこのコンクールに協賛をしています。すでに昨年に募集したイラスト作品の中から選んで作成された、次のような素敵なポスターを各中学校に配布してあり、応募があった多数の作品から、優秀な作品を選考する作業が現在、行われているそうです。

会議では、岩崎さんの巧みな進行によって活発な意見交換がありました。SSISSはこの科学コンクールが今のような形になったきっかけを作りました(活動案内10周年記念号11ページ)。第3回までは優秀作品の表彰式があり、著名な科学者の講演会を行っていました。ノーベル化学賞受賞者の白川秀樹筑波大学名誉教授も講演者の一人でした。平成24年(2012)の第4回の時に、この講演をSSISSにお願いできないかということで大木道則理事長(当時)と大井みさほ理事(当時)が連合会会長などと打合せを行いました。その席で、講演よりはむしろ優秀作品に選ばれた生徒がその内容を発表する会にした方がよいのではないかと提案をて、そのような形になりました。そしてSSISSは作品の選考に協力することになったのです。初期の頃にはSSISSだけでなくオリンパス工業の方なども、すべての応募作品に目を通し、各賞選考の過程にかかわりました。また、これと並行して八王子のいくつかの中学校に出前授業で赴いたことなどが話題に上りました。現在、すでに書いたように応募があった作品の中から優秀賞を選考する作業が進行中とのことですが、なるべく発表の内容がわかるアブストラクトのようなものを発表会の前にほしいと要望しました。その他、八王子市でのSSISSの支援の在り方など、いろいろなことについて意見交換がありました。

12月3日(土)に開催される優秀作品の発表会と表彰式には、少なくとも西原寛理事長、大井みさほ監事、町田武生理事が参加することが確認され、表彰式では表彰状と副賞を理事長が授与します。副賞としては、小林憲正理事が昨年末に刊行した中公新書の「地球外生命ーアストロバイオロジーで探る生命の起源と未来」をすべての受賞者に差し上げるつもりであることを伝えました。

東村山市第一中学校との打ち合わせ

8月24日の午後1時30分から、11月9日に予定されている東村山第一中学校での出前授業について、授業の内容や準備等についての打ち合わせをZoomによるWeb会議で行いました。SSISSからは西原寛理事長をはじめとして小林憲正、佐々田博之、町田武生、和田勝の各理事、大井みさほ、奥田治之の各監事、西原研究室の高田さんの8名が、東村山第一中学校からは校長先生である海老塚俊一さんと理科教員の丸山さん、それに「東村山夢と希望プロジェクト」のコーディネーター富摩照夫さんが参加しました。実は今回が2回目の打ち合わせで、8月2日に簡単な顔合わせ兼打合せがあり、今回は理科の教員を入れてもう少し突っ込んだ打ち合わせになりました。

改めて各自が自己紹介をして打ち合わせに入りました。今回は東村山第一中学校の2年生4クラスの生徒さんに対して、現在のところ6名の会員が出前授業を行う予定です。この日は、授業を行う予定の西原、和田、大井、佐々田、奥田、小林会員が、実験を行うために必要な設備のある教室、学校側で用意してほしい備品や器具などの要望を述べ、中学校側はそれぞれの要望の応じた教室を用意できること、備品なども応じられるという回答でした。

細かい手順や必要な備品、消耗品などを、SSISS側で書き出して送るということを約束して、打ち合わせを終わりました。

江戸川子ども未来館での活動(2)

和田勝会員が、8月10日の午後1時から4時までの時間で、江戸川区子ども未来館の夏休み応援プロジェクトの一つとして、「生き物は細胞でできている」というテーマで、小学校5,6年の児童16名に実験授業を行いました。今回は、少し広い実験室に余裕をもって机が配置され、顕微鏡とスライドグラスなどの必要なものが机の上に準備されていました。子ども未来館の前川啓二さんとボランティアの3名の方が手伝ってくれました。下に掲載して写真はすべて、前川さんの撮影です。

最初に顕微鏡の操作法の説明を少し詳しく行いました、持参したヘマトキシリン・エオシン染色をしてあるプレパラートを使って、ピントの合わせ方、メカニカルステージの動かし方、倍率の変え方などの基本操作に慣れてもらいました。

ついで単細胞生物のゾウリムシの観察を行いました。どのように動くか観察するよう促しました。少なくとも、グルグル回りながら進んでいくことはわかってもらえたと思います。一応、繊毛の話はしましたが、今回は、時間配分を考えてあまり詳しい観察は行いませんでした。ちょっと反省。下の画像はここからお借りしています。

その後、多細胞生物の植物の例として、タマネギ鱗茎葉の表皮細胞を酢酸カーミンで染色して観察しました。染色により1つ1つの細胞に核がきれいに見えました。

次にトマトの表皮細胞を観察し、細胞の形、大きさ、色、配列の仕方がlタマネギの場合とどのように違うか、考えるように促しました。

植物の細胞はゾウリムシのように動かないので、植物細胞も生きていることを実感してもらうために、オオカナダモの裏側の細胞で葉緑体が動くことを観察してもらいました。 葉緑体は観察できるのですが、動きはゆっくりしていました。条件設定が悪かったのだと思います。反省点です。原形質流動ということを説明しました。

動物細胞の例として、自分の頬の内側の表皮細胞を綿棒でこすり取り、染色して観察しました。すべての人がうまく観察することができて、ホッとしました。

ここで植物細胞と動物細胞の違いを説明し、最後に、細胞分裂により数を増やし成長することを強調しました。

生徒はみな熱心で、反応も良かったような気がします。

終わった後に各自が書いて提出する発見カードには、わかった度とわくわく度を書くのですが、どちらも「とっても」が多く、おおむね好評だったようです。書かれていた書き込みのいくつかを紹介します。
「けんび鏡で知らないことを探すのがとても楽しかったです。来年も来たいです。」「細胞という言葉は知っていたけど、形はわからなかったから、わかってすっきりしたきもちになった。」「ゾウリムシなんてはじめてしった。」「細胞のことがよくわかりました。初めてけんび鏡でかんさつして、わくわくしたし、楽しかったです。」

江戸川子ども未来館での活動(1)

大井みさほ会員が、8月9日の午前に、江戸川区子ども未来館で毎年実施している「子どもアカデミー夏休みプログラム」の中の一コマとして、「光のすすみかた(光で遊んで、光を学ぼう)」というタイトルで実験授業を行いました。参加した児童は小学校3年から6年の児童20名でした。子ども未来館の方とボランティア方2名が手伝ってくれました。

最初に「光とは何か」を、太陽、月から始まって、たき火の光、電気を使った電球の光、蛍光灯の光などを例にして説明しました。次に、「レーザーについて」の説明を、絵や図を使っておこない、実験に入りました。

赤と緑のレーザーポインターを各テーブルに1本ずつ用意しました。まず空気中では、レーザー光をとばすと、レーザービームの途中は見えないけれど、ビームが天井などに当たると、当たったところにスポットが見えることを確認しました。次に、水槽に水を入れ、水中にレーザービームをとばしても見えないけれど、カルピスを少し加えて水を白濁させると、水中でもレーザービームが見えるようになることを確認しました。

白濁した水槽の水に赤と緑のレーザーポインターの光をあて、いろいろと角度を変えてみてもらい、入射、屈折、水の表面による全反射などを観察してもらいました。

次にCD板を配り、照明光を当てると虹色が見えることを確かめてもらい、回折格子板を配って室内や、窓の外なども観察してもらいました。さらに光ファイバーについて光は全反射で進むことを説明し、実際に光ファイバーで光を送り、観察をしました。

光の実験はきれいなので、子どもたちも興味を持ってくれるようです。

東京雑学大学での活動

大井みさほ会員が、7月14日の午後に、武蔵野スィングホールで、東京雑学大学の学生さんに 「子供たちとする実験の紹介(光の進み方を調べてみよう)」というタイトルで 講義を行いました。 2時から4時までで途中に休憩を挟んでの講義でした。50名ほどの学生さんが出席してくれました。

江戸川区子ども未来館での実験授業などの紹介を中心に、「光とは何か」の話から始まって、たき火の光、電気を使った電球の光、蛍光灯の光などについて話し、「レーザーについて」を、絵や図を使って解説しました。

赤と緑のレーザーポインターを用いて空気中でレーザー光をとばすと、レーザービームの途中は見えないけれど、ビームが天井などに当たると、当たったところに赤や緑の光が見えることを示しました。次に、水槽に水を入れ、水中にレーザービームをとばしても見えないけれど、カルピスを少し加えて水を白濁させると、水中でもレーザービームが見えるようになることを示しました。角度を変えて水にあて、入射、屈折、反射を観察してもらい、反射と屈折の法則の説明をしました。

次にCD板を配り、照明光を当てると虹色が見えることを確かめてもらい、回折格子板を配って室内や、窓の外などの光を観察して、回折の原理を説明しました。

さらに半透明の棒にレーザー光を入射させ、光ファイバーの原理を説明し、実際にいろいろな光ファイバーの光を棒に送りこみ、全反射で反対側に到達することを観察をしてもらいました。
参加者は通常より男性が多かったのが印象的でした。

池袋立教中学校・高等学校での活動

西原寛、有山正孝、小林憲正、佐々田博之、町田武生、和田 勝会員が、7月23日の午後1時から開催された、立教池袋中学校・高等学校の科学部研究会発表会に参加して、助言を行いました。今年度も生物部は参加せず科学部だけで、Zoomを使った研究表会でした。

この画面キャプチャーは、終了間際です。

演題は中学生から7題、高校生から6題あり、途中2回の休憩をはさんでほぼ予定通りに進行し、午後3時40分に閉会式が行われました。いずれの演題もパワーポイントを使って発表され、7分の発表時間の後に3分の質疑応答が行われました。プログラムは次の通りです。

質疑応答の時間には、西原理事長をはじめとして佐々田会員、町田会員がコメントを述べました。どの演題も問題を設定して実験によって解決しようとする姿勢が見て取れ、これからの発展・展開が楽しみです。

千葉県立佐倉高校での活動(三)

佐々田博之会員が、7月19日の午後に、千葉県立佐倉高等学校のSSH活動の一環として、「マイ分光器を作り光源の性質を調べよう」というタイトルで、2年生の生徒40人に対して実験授業を行いました。

最初にスライドを使って、「波動」に関して手短に説明をしました。
波動とは空間や物質の内部を変化が次々と隣に伝わって行く現象です。たとえば、水面に指を触れると、水面の高低が同心円状に広がっていきます。これは水面波で指を触れたところを波源と言います。水のように波動を伝えるものを媒質と言います。

波動を特徴づける性質が二つあります。一つは回折、もう一つは干渉です。
回析とは、平面的に進んできた波が障害物にぶつかったとき、そこにスリットがあると、このスリットを新たな波源として障害物の陰の部分にも波動が広がっていく現象です。

Wikipedia回折の項より

防波堤の隙間(スリット)で回折した波で、砂浜が半円形に浸食されているのがわかりますね。

GoogleMapより

干渉とは、波が重なり合うと、強め合ったり弱め合ったりする現象です。

Wikipedia干渉の項より

上の写真では、緑丸と赤丸を波源とする波が干渉して縞模様が見えます。緑の円と赤の円の交点で波は強め合っています。

光も波の性質を持つ電磁波ですから、上に述べた回折と干渉が起こります。スリットが複数ある場合は、異なるスリットで回折した光が干渉して特定の方向にだけ進むようになります。今回使う回折格子は、1mmあたりに数百本の周期構造を持つシートです。

というような説明を簡単にして、マイ分光器の製作にとりかかりました。

光を回折格子に垂直にあてるために、装置を工夫しました。

型紙に合わせて工作用紙を切り、回折格子シート500 line/mmをはり付けます。

こうしてできたマイ分光器と、その使い方です。

製作開始から約30分で、ほぼ全員が装置を完成させていました。

さっそく製作した分光器を使い、照明(白熱電球、Hg入り蛍光灯、LED蛍光灯)を観察し、さらに太陽光を観察しました。太陽光のスペクトルは虹色が連続して見えましたが、ところどころに黒い吸収線(フラウンホーファー線)があることを確認できました。

また、スペクトルランプ(Ne, Na)を観察しました。さらに、炎色反応(NaCl, CuCl2)も観測しました。

連続スペクトルと線スペクトルを説明し、元素は固有の波長の線スペクトルを持つことを説明しました。
自作の装置で綺麗なスペクトルが観測できて、生徒達も楽しんでいました。

千葉県立佐倉高校での活動(二)

小林憲正会員が、2月8日の午後に、千葉県立佐倉高等学校のSSH活動の一環として、「宇宙に生命の起源を探る」というタイトルで、2年生の生徒40人に対して実験授業を行いました。下の写真は佐倉高校のこのページからお借りしています。

6-7名ずつ6班に分かれてもらい、分子模型セット、コガネムシ、左右円偏光フィルター、鏡を各班毎に、パワーポイントのハンドアウトと質問の解答用紙を各生徒に配布しました。

まずはじめに、生命がどのように誕生したかについて、これまでの研究史を概説し、その中で、地球外での有機物生成が重要であること、また、アミノ酸のような生体分子が左右対称でないことが重要であることを解説しました。

その後、実習と観察を行いました。分子模型を使って、4つの結合手をもった炭素原子に4つの異なる原子(団)をつけた場合、2種類の分子(鏡像異性体)が可能なことを確かめてもらいました。

次に、コガネムシの羽を左右円偏光フィルターを通して観察すると、異なった色に見えること、鏡に写した場合は結果が逆になることを確認しました。

これらのことから、地球生命が分子レベルで非対称であることが生命の本質に関係することを考えてもらいました。これと関連して、右左の概念や生命とは何か、などについても考えてもらいました。

休憩後の後半は、地球外生命の存在の可能性について、いくつかの質問を通して考えてもらいました。地球上でも、様々な極限環境に生物が存在していることから、太陽系でも火星、エウロパなどの天体に生命が存在するかもしれないこと、その探査が行われていることを紹介しました。

太陽系外は電波による探査(SETI)が行われていますが、その成否は、文明の寿命に依存することを紹介しました。以上のことから、地球外生命を考えることは、私たちの環境・文明を護っていくことにも通じることを理解してもらいました。