江戸川区子ども未来館での活動(4)

和田勝会員が、9月23日(水)の午後2時から3時半まで、江戸川区子ども未来館で「生きものは細胞からできている」というタイトルで、3~6年生の児童15人に実験授業を行いました。

今回は、子ども未来館・子どもアカデミアが募集した9月の教室の一つとして、上記のタイトルで行い、事前申し込みで決まった15名の児童が受講しました。ちなみに、9月の事前申し込みの教室は9つあり、今回のもの以外に、「稲刈り体験と左近川の生きもの観察」、「はじめてのロボット教室」、「おとをつくろう!おととであそぼう!」、「すてきな山の幸染め~葉っぱでコラージュ~」、「江戸川で秋の七草とバッタを探そう」、「深海の不思議」、「落ち葉の下の小さな生きもの」、「びっくり!人工イクラを作ってみよう」と、魅力的な内容の教室があります。

今回の実験授業ですが、「生き物は細胞からできている」としたのは、植物でも動物でも、生き物の基本的な単位は細胞であるということを実感してもらうためです。

日本の理科教育では、「細胞」という言葉は小学校では出てきません。平成20年6月に改訂された小学校学習指導要領理科編を見ると、小学校の理科では、その目標として、「自然に親しみ、見通しを持って観察、実験などを行い、問題解決の能力と自然を愛する心情を育てるとともに、自然の事物・現象について実感を伴った理解を図り、科学的な見方や考え方を養う。」とあります。しかしながら、生物分野の内容は、どちらかというと、「自然に親しみ」に力点が置かれた教科書のつくりになっているような気がします。そのためか4年生で筋肉や骨、6年生では体の各器官の記述がありますが、「細胞」という言葉は出てきません。「細胞」が登場するのは、中学校2年生になってからです。筆者はこのような順序建てを、たいへん不満に思っています。

一方、よく引き合いに出されるフィンランドの理科教育では、小学校2年生の教科書に、人体内部の各器官の図とともに、基本的な細胞(上皮細胞、横紋筋の細胞、神経細胞、造骨細胞、破骨細胞、マクロファージ・白血球群など)が、模式的ではない、かなり正確な図とともに記載されています(下の写真:国立教育政策研究所・研究紹介、第二部 理科教科書に関する国際比較調査結果報告 Ⅱ-8.フィンランド;「フィンランドの理科教育から学ぶもの」鈴木誠、教科研究中学校理科、No185 学校図書株式会社)。

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ということで、実感するため、つまり観察するためには、拡大装置が必要です。全体のイントロダクションとして、スライドを使って、植物も動物も、生き物は細胞からできている、でも目で見ただけではわからず、拡大しなければわからない、拡大するには虫眼鏡、実体顕微鏡があるが、これではまだ拡大率が不足している、そこで光学顕微鏡の登場という順序で話しを進めました。

ついで顕微鏡の使い方を、HE染色したプレパラートを配布し、各自の目の前にある顕微鏡を使って説明しました。江戸川子ども未来館に備品としてある顕微鏡は、接眼レンズがx10、対物レンズがx4、x10、x40、x60、メカニカルステージ付き、LEDの内蔵照明のある比較的、性能の高いものです。

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各部の名称がたくさんあって、戸惑わせることになるのですが、正しく使うためには仕方がないので、手に取って説明しました。

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配布した染色済みのプレパラートを使って、まずいちばん低倍(x40)で見たいものを視野の真ん中に持っていき、ピント調節粗動ねじと微動ねじを使って、ピントを合わせます。一度ピントを合わせると、対物レンズを変えて、一段、高い倍率(x100)にしても、それほどピントはずれません。レボルバーを回して対物レンズを変え、微動ねじでピントを合わせられます。あとはこの繰り返しです。それでも見ていると、見たいものを常に視野の中央に置くようにメカニカルステージを動かして調節する、ステージは動かさずに倍率を変える、ということを忘れて動かしてしまい、染色された切片を見失う児童が多く見受けられました。もっと説明をする必要があったのかもしれません。

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顕微鏡の取り扱いになれたところで、次に自分で観察するプレパラートを作ることにします。定番のタマネギ鱗茎葉表皮を使います。下の写真は実演して見せようとしているのですが、老眼でよく見えず、もたもたしているところです。

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若い受講者は難なくこなして、薄い表皮をはがし、スライドグラスに載せて酢酸カーミンで染色していきます。ちょっとお手伝いもしましたが。

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ちゃんと見えたよ、どれどれ、、という写真です。スケッチもしてもらいました。

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ついでミニトマト(子ども未来館屋上で採れたもの)の表皮を観察してもらいます。もちろん自分でプレパラートを作って。並んだ細胞の大きさが違い、中に赤い色素の粒が詰まっているのが見えます。

ここまでは植物です。動物の細胞として、自分の口腔上皮細胞を観察することにします。まず口を漱いできれいにし、綿棒で頬の内側をかきとってスライドグラスに載せ、染色。数が少ないので、みんなは探すのに少し手間取りましたが、大多数の児童が観察に成功。

5年生で習う発生の話をして、細胞は数を増やすことによって体を作っていくことを説明。基礎生物学研究所の作成したメダカの発生の動画を見てもらいました。

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時間の関係でナスの観察を省いてしまったり、パワーポイントのスライドとこちらの口頭での説明がうまくかみ合わなかったりと、反省点もある実験授業でした。反省会でも時間の配分など、改善点を話し合いました。でも、終了後に受講者が書いた「発見カード」には、次のような感想があり、ほっとしました。

「今日わかったことやもっと知りたいことを書きましょう。」
・今日は、タマネギ、トマト、自分の細ぼうを調べるたいけんをしたことがなかったので、とても勉強になりました。他の細ぼうも調べてみたいです。(3年女)
・今日は、トマトやたまねぎの細胞を見て、まい日たべている野菜の皮などにこんなものがついてるの?とおどろきました。他のものの細胞も調べたいです。(5年女)
・生物は、細胞でできていることがしりました。(4年男)
・自分のさいぼうは目ではみれないのに、けんびきょうでみれてうれしいです。(3年女)
・ぼくの細胞をみたら、なかったと思ったけど、あった。ナスも見たかった。自分でみたい。(5年男)
・いろいろなものの細胞が見れてよかった。もっといろいろなものの細胞を見たいです(3年男)
・タマネギの細胞はトマトより細かくなかったけど、トマトはすごいこまかかった。あと、自分の細胞も見れてよかったです。(3年男)
・トマトとタマネギの表皮がぜんぜんちがうかたちだった。(5年女)
・トマトとタマネギの細ぼうはこんなにもちがうなんて、びっくりしましました。ナスもやってみたかったです。とくに、トマトがこんなかんじみたいなんて、ぜんぜん想ぞうできなかったので、知れてうれしかったです。(4年女)
・さいぼうは、玉ねぎやトマトにもある。ナスもやりたかった。さいぼうはいっぱいわかれる。(3年女)

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