「活動記録」カテゴリーアーカイブ

八王子市立高尾山学園での活動(3)

細矢治夫会員が9月4日の午後、八王子市立高尾山学園で、「折紙多面体」というタイトルで理科実験授業を行いました。参加した生徒は3名、教員は、小学および中学理科教員が4名でした。このタイトルでの授業は、昨年に続き2度目になります。

人数が少ないので、全員を一つのテーブルの周りに座ってもらうことができました。まず、多面体というものがどういうものか、それが将来の高校の化学とどういう関わりがあるかを、簡単に説明しました。下の図はここからお借りしています。
八面体を取る分子の一例です。六フッ化硫黄(Wikipediaより)。

次に、正方形の折り紙2枚から「正八面体のスケルトン」を折り上げることを教えました。上手い、下手の差はありますが、30分ほどで全員成功しました。

Minolta DSC

YouTubeに載っていた、折り紙クラブの正八面体スケルトンの折方です。

二つ目のターゲットとして、2枚の長方形の折り紙を使ったユニット折り紙で「正四面体」を折りあげることにも成功しました。さらに4枚のユニットから「正八面体」を折ることもできました。

折り方の早い子には、遅い子への手助けをしてもらい、子供らの間のコミュニケーション作りにも役立ったと思います。

最後に、少し難しい作品作りを見せたり、折り紙の有用性も説明しました。

台風21号が関西地方を襲った余波が関東にも及びましたが、無事に終了できて、教える方も教わる方も、一同ほっとしました。

江戸川区子ども未来館での活動(4)

廣田穣会員が、8月22日の午後2時から4時までの時間で、江戸川区子ども未来館の夏休み応援プロジェクトの一つとして、「光を出す化学反応 炎色反応からホタルの光まで」というテーマで、小学校3-6年の児童16名に実験授業を行いました。

①色と光の3原色(講義と演示実験)
色が見えるのは、そのもの自体が色のついた光を発している場合と、外部(太陽光など)からの光を反射したために見える場合があります。ここでは光を発する場合を考えていくことにします。

②光を発する反応(講義中心)
化学反応によって光が発せられる場合があります(化学発光)。反応式で表すと次のようになり、反応を進めるために触媒が必要になります。

A + B -> C + D

この反応の結果、生じたCはエネルギーが高い状態(励起状態)のため、基底状態に戻り、そのときにエネルギーの差に相当する波長の光を発します。これが直接発光の例です。⑤を参照のこと。

一方、上の化学反応で生じた励起状態のCが、持っているエネルギーを別の物質(蛍光を発する染料)に渡してこの物質を励起状態にし、それがもとの基底状態に戻るときに蛍光を発する反応があります。こちらは間接発光と言います。この場合、蛍光を発する染料を変えることにより、さまざまな色の蛍光を発生させることができます。お祭りで売っているケミカルライトがこれですね。

③蛍光についての実験・ブラックライトの応用(実験)
上の②の最後で述べたケミカルライトの反応は、Aがシュウ酸ジフェニル、Bが過酸化水素、触媒がサリチル酸ナトリウムで、Cが1,2ジオキシセタンジオン、Dがフェノールです。1,2ジオキシセタンジオンは不安定で、自然に2分子の二酸化炭素となり、この時に発生するエネルギーが蛍光染料に渡され、蛍光染料は励起状態になり、基底状態に戻るときに蛍光を発します。

ブラックライトは、ほとんど目に見えない紫外線を発生する光源を言います(写真はWikipediaより)。携帯に便利なLEDによるブラックライトも多数、販売されています
普通は目に見えない蛍光塗料を、ブラックライトを当てて光らせることができます。よくショーウィンドーのディスプレイの視覚効果で使われていますよね。そのほかにも、紙幣の真贋のチェックなど、いろいろと応用されています。

そうそう、夜釣りをするときには、電気ウキやケミカルライトを利用したウキを使いますが、蛍光塗料を塗ったウキを使って、ブラックライトでウキの動きを追うこともできるようです。

④炎色反応をきれいに見る(実験)
炎色反応とは、アルカリ金属(下の写真の左から1、2、3番目まで)やアルカリ土類金属(下の写真の左から4、5、6番目)、金属の銅を、炎の中にいれると、それぞれの元素に特有な色を発する現象をいいます。

この反応は、それぞれの元素の原子がもつ電子が外側の軌道に熱によって移動した励起状態になり、再び元の軌道に戻るときに、元素特有の色を発することによります。

したがって、きれいに炎色反応を起こすためには、それぞれの金属原子がバラバラになった塩化物水溶液を使うか、金属銅の場合は微小な粉末にする必要があります。ここではガスバーナーではなく、カセットコンロを使っています。

色の異なる金属を混ぜてやれば、①で述べた光の3原色に従った混色を作ることができます。花火の色はこの方法で作っているんです。

⑤ルミノールによる発色(実験)
ルミノールという化合物の塩基性水溶液に、過酸化水素と血液(ヘモグロビン)を加えると、強い青紫色の発光を示します。これがルミノール反応で、警察の科学捜査で血痕の検出に使われます(写真はWikipediaより)。これも化学発光の一つで、この場合、上の②で述べたAに該当するのがルミノールで、過酸化水素がB、ヘモグロビンが触媒に相当する直接発光行です。

郵便局や銀行に行くと、カウンターの後ろにそっと置いてある防犯カラーボールは、ルミノール反応を利用しています。入口の柱に貼ってある、身長目安の目盛りも気になりますよね。

ホタルの発光は、広い意味で化学発光の一つですが、生物が作る酵素タンパク質が触媒となっているので、特に生物発光と呼んでいます。

いずれの場合も、光を発するのは励起状態から基底状態への電子の遷移によって起こる現象で、原子の構造を学習していない小学生には、根本的な原理を理解するのは難しいでしょうが、いろいろな実験を通して、きれいに光る今回の実験を覚えていて、いつか、「あ、なるほど、あの時のはこれだったのね」、となるといいのですが。

注記)上の記述は、各項目のタイトルから膨らませて書いたもので、必ずしも実際の授業の内容を反映しているものではありません。当日の写真は、子ども未来館の前川さんが撮影したものです。

江戸川区子ども未来館での活動(3)

野津憲治会員が、8月21日の午後2時から4時までの時間で、江戸川区子ども未来館の夏休み応援プロジェクトの一つとして、「火山はなぜ爆発するんか」というテーマで、小学校3-6年の児童18名に実験授業を行いました。

実施日の前の7月5日に、子ども未来館へ出向いてしっかりと打ち合わせを行いました。子ども未来館側の要望を聞き、使用できる機材や文房具、パソコン環境の確認を行いました。

満を持しての実施当日です。かなり早めに子ども未来館に到着し、実験の準備を行いました。実施した内容は次の通りです。

1)まず火山および火山噴火についての初歩的な説明を行いました。
(写真は子ども未来館の前川さん撮影)

こちらは、桜島の噴火の様子です。ここからお借りしています。

2)次いで、桜島火山で採取した火山灰を簡単な双眼拡大鏡で観察して、一人ずつスケッチを描いてもらい、火山灰の特徴をつかんでもらいました。
小学生にとって火山灰を扱うのは初めてで、多くの児童が大変に興味を示してくれました。

火山灰にはマグマ起源のガラス片が入っていることを観察できた児童も少なからずいました。
これらの写真はここからお借りしています。ちなみに、火山灰は、「灰」と言っても普通に見る灰とは異なり、上の写真のように、ガラスを含む鉱石の細かい粒なので、処理を誤ると大変なことになります。たとえば車のフロントガラスに積もったものをワイパーを動かして除こうとすると、フロントガラスが傷だらけになってしまいます。降灰がしょっちゅう起こる鹿児島市では、降灰ステーションと呼ぶ専用の集積所に克灰袋に入れて出し、回収して埋め立て処理をしています。

実験に使った火山灰を持ち帰りたいという児童が半分ほどいて、ポリ袋に入れて渡しました。自分で観察していろいろと考えてくれるといいですね。

3)休憩を挟んで、火山噴火が起きるのはマグマの上昇であることを理解するために、火山の内部構造模型をペーパークラフトで作りました。
上の完成図は当日のものとは異なりますが、こんな感じに仕上がります。ここからお借りしています。

子ども未来館の4名の方が、小学生一人一人の模型作りを助けたこともあり、全員が時間内に完成し、その模型を使って噴火の説明を行うことができました。

江戸川区子ども未来館での活動(2)

和田勝会員が、8月2日の午後2時から4時までの時間で、江戸川区子ども未来館の夏休み応援プロジェクトの一つとして、「生き物は細胞でできている」というテーマで、小学校5,6年の児童18名に実験授業を行いました。

以前の活動報告に書いたように、新聞や日常会話、あるいは小学生向けの図鑑などの中には、「細胞」や「遺伝子」の用語が出てきますが、小学校理科の学習指導要領では、これらの用語は取り上げられていません。

5年生でメダカの発生や母体の中での胎児の成長に言及しているのに、なぜか基本的な単位である細胞が数を増やすことによって発生が進み、体が大きくなることに触れていません。

指導要領を逸脱するけれど、基本単位の「細胞」が「細胞分裂」によって数を増やして成長していくのだということを納得できるように、実験授業を構成してみました。

前置きはともかく、最初は顕微鏡の扱いに慣れてもらうために、顕微鏡の操作の手順について説明しました。
単細胞生物と多細胞生物の違いを説明し、単細胞生物の代表としてゾウリムシを観察してもらいました。ゾウリムシは比較的大きくて動き回るので、おもしろいと思ってもらえると考えたからです(次の写真はこのサイトのものをお借りしています)。
案の定、みんなは動き回るゾウリムシを追いかけます。粘っこいメチルセルローズ溶液で動きを遅くして観察することも試しましたが、こちらの説明が十分でなく、必ずしもうまく行きませんでした(皆がべとべとの液にてこずったので)。ハンドアウトに適宜余白を置いたので、そこに観察したものを必ずスケッチするように促しました。

適当なところでゾウリムシを切り上げて、多細胞生物植物編に突入です。定番のタマネギ鱗茎葉の表皮細胞を切り出して、最初は無染色、次に酢酸カーミンで染色して観察してもらいました。次の写真はカッターナイフで井型に切り込みを入れて、表皮を剥ぐところをデモしている様子です。

こうして得られた標本を観察すると、長細い形の細胞が、びっしり並んでいるのが分かります、ちょっと感激です(多分)(次の写真の上の方)。
続いてトマトの果皮の表皮細胞を、同じように切り出して、今度は無染色で観察してもらいました(上の写真の下の方)。明らかに形が違いますし、細胞と細胞と間の距離が異なります。これに関しては答えは言わずに、この違いはなぜ?、その結果、どうなるの?と考えてみてね、と言いました。

動物細胞の例として、自分の口腔内上皮細胞の剥離したものを綿棒でこすり取って、それをプレパラートに移し酢酸カーミンで染色して観察しました。ほぼ全員が観察することができました。今回の撮影像がなかったので、次の写真は、ここからお借りしています。
駆け足ですが、これで多細胞生物である植物も動物も、基本単位である細胞から構成されていることがわかりました。

最後に、細胞はどのようにして数を増やすのかを垣間見てもらうための実験です。最初にウニの発生の動画の中から、受精卵が原腸胚になるまでの過程、すなわち盛んに卵割(細胞分裂)を行って数を増やす過程を見てもらいました。
ネギの種子を発根させ、その根の先端部分を午前9時ころにファーマー液(氷酢酸:無水アルコール=1:3)で固定し、70%アルコール液に移して保存したものを、あらかじめ準備しました。聖徳学園の時にはタマネギを使ったのですが、イマイチうまくいかなかったので、今回はネギの種子を使うことにしたのです。発根した根は細くて扱いにくいかなと危惧しましたが、持参したものを1/10モル塩酸を60度に温めてその中で処理をして細胞間の結合を切って(解離)やると、かなり太くなることがわかりました。全体的に透明で先端部分が白く見えます。

これをよく洗ってスライドグラスに移し、別のスライドグラスを十字において押しつぶし、酢酸カーミンで染色しました。今回は無事にネギの根端細胞の分裂像を観察することができました。
ここで「細胞分裂」と「染色体」という用語を紹介し、染色体に「遺伝子」が載っているのだと説明しましたが、あまり深くは説明しませんでした。また、細胞分裂の周期(前期、中期、後期、終期)という語も説明しませんでした。上の写真では左上から右下に向かってそれらしい像が見られます。全員が必ずしも根端組織を見つけられなかったようですが、タマネギの細長い細胞と比べて根端組織の細胞の形の違い、核の凝集度の違いに気が付いてくれればいいなと思いました。

最後の方はちょっと駆け足になりましたが、一通り実験できて、まあまあ良かったのではないかと思いました。終了後に「アカデミー発見カード」というアンケートを取っていますが、その結果は次のようなものでした(回収数14)。

わかった度 Good 11、 Fair 3、 Poor 0
わくわく度 Good 11、 Fair 3、 Poor 0

「今日わかったこと、ふしぎに思ったこと、もっと調べたいことなど、なんでも書こう」の項目には次のようなコメントがありました(抜粋、順不同、原文ママ)。

「おもしろかった」「生き物すべてにいろいろな細胞があっておもしろいなと思いました」「細胞ってはじめきいてもわからなかったけど本当はみじかなものだと分かってほっとしました」「生き物や植物には細胞があることがわかりました。特に自分の細胞を見た時にはたくさんの細胞で体が作られていてすごいと思いました」「動物と植物とでは細胞の形がちがう」「タマネギとトマトの細胞の厚さがちがうことがわかりました」「ゾウリムシの泳ぎ方がふしぎだと思いました」「いろな形のさいぼうがいるんだと思いました」「細胞分裂という言葉初めて聞きました。トマトを見てわかりました。とてもよくわかりました」「細胞分裂という名を知った。核というものを初めて聞いた。人間は60兆個の細胞がある。トマトの細胞がすごかった」

これ以外に、「あともっとみてみたいなと思いました」「はちゅうるいさいぼうはどうなっているか」「うさぎや魚の細胞を見てみたい」「せんしょく体をもっとしらべたい」

というのもありました。

なお、上に載せた子ども未来館内での写真は、未来館の前川啓二さんに提供してもらいました。

 

江戸川区子ども未来館での活動(1)

大井みさほ会員が、7月29日の午後に、江戸川区子ども未来館の夏休み応援プロジェクトの一つとして、「光の進み方を調べてみよう」というテーマで、小学校児童9名に実験授業を行いました。

大井会員は、これまで江戸川子ども未来館で、同じテーマで実験授業を行っています。まったく同じというわけではありませんが、写真入りの授業の様子は、2015年7月に行った、上のリンク先をご覧ください。

活動を終えた大井会員の感想は、「上記テーマで各種光源の説明、水槽でのレーザー光による光の直進、屈折、反射、角棒と光ファイバーでの全反射等の説明をもとに、児童による実験観察を行ないました。今回は光ファイバーの実験の時間は短めにして、回折格子分光器の製作を入れました。レーザーを各テーブルに緑を1本ずつ、赤を人数分用意できたので、水槽実験、光ファイバー実験ともに、やりやすかったです。」

八王子市立城山中学校での活動

有山正孝、大井みさほ、野津憲治会員が、八王子市立城山中学校で9月15日(土)に開催が予定されているイベントに関して詳細を詰めるため、7月26日に城山中学校を訪ねて、城山中学校校長、理科教員、PTA会長と打ち合わせを行いました。

城山中学校での理科実験イベントは、ここ何年か行っており、それなりの実績を上げています。本年度も、例年のように実施するにあたり、具体的な詰めを行いました。

学校側から当日の開始時刻と時間、受講予定者の人数などを聞き、SSISSからは当日、参加を予定している会員(奥田、有山、大井、廣田、和田、野津、細矢)を示し、こちらの要望を伝えました。

この話し合いの結果を受けて、それぞれの会員が行う実験授業のテーマ、内容、必要な機器などを確定し、後ほど正確なものを中学校側に伝えることにしました。

これであとは9月15日に向けて、各会員が準備を行うことになります。

立教池袋中学校・高等学校での活動

大井みさほ、廣田穣、箕浦真生、町田武生、和田勝会員が、7月21日に立教池袋中学校・高等学校で開催された2018年度立教理系研究発表会に参加して、発表を聴き、助言をしました。

今回は池袋だけでなく、新座の中学校・高等学校も加わって、それぞれの理系クラブの生徒が研究発表を行いました。発表は全部で23件あり、それぞれのクラブからの発表の内訳は、理科部から4、科学部から6、化学部から4、生物部から7、観測部から1、理科部と生物部の共同が1件でした。

会場である大会議室には発表する生徒のほか、それぞれのクラブの顧問の先生方などを含めて90名ほどの参加者があり、満席でした。SSISSは立教池袋中学校・高等学校内に事務所を置いていることもあり、積極的に参加しました。

受付でB5版の要旨集を渡されたました。すべての演題に対応して、1ないし2ページで、研究の目的、方法、結果、考察、今後の展望が記載されていました。いずれの講演も、パワーポイントのスライドを使って、研究を行った個人、グループの場合はそれぞれ交代で発表していました。

途中3回の休憩をはさんで、会はスケジュール通りに進みましたが、各発表の時間は質疑応答を入れて7分なので、少々、あわただしい感じがしました。また、研究のテーマは多岐にわたっているので、初めて聞く者にとっては、各発表を十分に理解するのに困難を感じ、要旨集の方法の項がもう少し詳しく書かれていればよいのに、と思いました。

発表会を聞いて、日ごろ行っている研究をある時点でまとめ、大勢の前で発表する機会をもつことは、生徒にとって大変に有意義で有効なことであると思いました。閉会式で、立教高等学校科学部顧問の後藤寛先生からも、一堂に集まって情報交換をする意義が述べられていました。

それぞれの研究の内容に関していえば、各自の興味・関心に従ってテーマを設定して研究を進めているのは好感が持てました。たとえば、「人工衛星の研究」の最終目標は、人工衛星を制作して打ち上げ、それを利用して「人工流れ星や人工オーロラを作る」だそうです!!。そのために、プログラム班、無線班、設計班、データ解析班、全体統括班を作り、1から(いや0からかも)、日々、作業を進めているそうです。

ただ、テーマの設定、進み具合、研究の進め方の妥当性などについては、発展途上のものを多く、今後の発展に期待したいと思います。より良い研究にするためには、自主性を重んじつつ、もう少しの助言や指導があってもよいのではないかと感じました。

市川学園市川高等学校での活動

廣田穣、細矢治夫、町田武生、和田勝の各会員が、7月7日に市川学園市川高等学校で行われた、平成30年度SSH生徒課題研究中間発表会に参加し、指導助言を行いました。

市川学園市川高等学校は、スーパー・サイエンス・ハイスクール(SSH)に選定されていて、「探究的な授業と課題研究を両輪とする指導方法を完成させ,国際的に活躍できる課題発見型研究者育成の基盤を構築する。」と謳っています。

これを実現するために、理系2年生全員およそ260名に、理科の課題研究を課しています。今回は、その中間発表会で、生徒が個人あるいはグループで仮説を立て実験を計画し、実施した実験について、ポスター発表(一部は講演)会があったのです。合計137件の発表があり、分野別の内訳は、数学4、物理42、地学3、化学36、生物43でした。

5月から始めたので、ほとんどがまだ計画段階、あるいは予備実験を行った段階のものでしたが、それぞれの課題ごとに模造紙一枚のポスターにまとめて張り出し、9時から11時まで、奇数番と偶数番が1時間ずつ、交代で発表がありました。会員は手分けをしてポスターの前に立ち、発表を聴き、気が付いたことなどをコメントしました。

課題研究のテーマは例年と少し異なり、比較的身近なものに目を向けたものが多かったと感じました。予備実験で数値化に至らないものも多数ありました。ただ、予備実験の段階であってもデータがあるのならば、「こう感じた」という表現ではなく、それをグラフなどで表して、「このような結果であった」とする方がいいと指摘しました。

終了後、担当教員3人と我々4人で、意見交換を行いました。教員側から第3期構想のロードマップが示され、それをもとに今後の展開について説明がありました。「過去から学ぶ」では科学史を重視した取り組み、「未来を考える」では国連の唱える「持続可能な開発目標(SDGs)」を考えた研究課題の探索、「現在を捉える」では、論理性とデータ処理の育成、のために、それぞれ他教科を巻き込んだ教育実践を行うという説明がありました。

「過去から学ぶ」では、「算額巡り」を行い、数学史、科学史につなげるなど、工夫がみられました。「現在を捉える」で統計理論、データ分析を教える前に、自然現象の観察とそこからどのようにデータをとるか、少し早めに取り組み、数値化について教える必要性があることを述べました。

私立聖徳学園小学校での活動(2)

和田勝会員が6月25日の午後に、私立聖徳学院小学校の理科特別授業で6月4日に続いて2回目の実験授業を行いました。予定では、6月4日に続いて翌週の6月11日に行うはずでしたが、台風5号が関東地方に接近し大雨になるという予報のために、延期になったのです。

当日、少し早めに理科実験室に入ると、窓際にタマネギが容器に乗って並んでいました。前回の宿題をちゃんとやっているようです。予定の1週間ではなく3週間たっているので、根はだいぶ伸びていて、コップの中を満たしていました。上の写真では、ペットボトルを切ったものに載せてあります(ここから借用)。我が家でやったものは、ここまでたくさん発根しませんでした。小さなコップだと狭いので、水中の酸素が不足していたようです。

さて、授業の開始とともに、タマネギをコップに載せて置いておいたら、根はどんなふうになったかを聞きました。最初だったからか、あまり活発な返事はありませんでしたが、「下に伸びる」という答えを引き出しました。それじゃあ、どうして下に伸びることができるの?
「細胞の数が増えるから」と、小さな声で反応。こちらは大きな声で、「そう、細胞の数が増えるんだね!」という出だしから、生き物は細胞の数を増やして大きくなる、植物の場合は、その場所が、根の先端近くと、芽生えの頂端にあることを説明しました。

ここからタマネギの根端分裂組織の観察に入りました。あらかじ固定して70%エタノールに保存しておいたタマネギの根の先の方を、およそ3%の温塩酸中に入れて解離を進めたものを、児童に配りました。

解離した根をスライドグラスに載せて、もう一枚のスライドグラスを十字になるように置き、上から強く押し付けます。これで根端を含む先端部は、ほぼ細胞が一層に並びます。次に染色液をたらし、10分ほど置きます。時間が経ったら、カバーグラスをかけて余分な染色液をティッシュペーパーでふき取り、顕微鏡で観察します。

次の写真は、拡げた根端分裂組織の写真です。ここより借用
根元の部分にある細胞とは異なり、明らかに丸っこい細胞が集まっているのがわかります。この部分を丁寧に探して、分裂像を見つけます。本来は、このような分裂している細胞の像がみられるはずでしたが、、、。

見つかりませんでした。右側にあるような、核の中が明らかに緩くなって、染色体になろうとする分裂の前期の像はありましたが、明瞭な染色体が見える細胞の像はありませんでした。上の写真は、このページから借用しています。

黒板を使って、少し説明しました。細胞、核、細胞分裂、染色体という用語は、頭の隅の残しておいてください、中学校になると学習します、と言いながら。

先生も児童も、ちょっと不完全燃焼だったかも。

気を取り直して、持って行ったウニの発生の動画を見せました。このように分裂を繰り返して、体ができていくこと、皆もお母さんのおなかの中で、似たように細胞が分裂を繰り返して、生まれてきたんだ、と説明しました。

カメラは持って行ったのですが、顕微鏡写真を撮る時間はありませんでした。そのため、他のサイトの写真をお借りして説明しています。それらのサイトを作成された方にお礼申し上げます。

反省点です。細胞分裂が盛んだという午前10時前後に固定しているのですが、分裂像は見つかりませんでした。分裂を一気の起こすための工夫が必要だと感じました。このページがそのヒントが載っています。

八王子市立高尾山学園での活動(2)

有山正孝会員が6月19日の午後、八王子市立高尾山学園で、「電流の働き」というタイトルで理科実験授業を行いました。参加した生徒は3名、教員は、中学理科教員が4名でした。

受講者は全員中学生でしたが、電流について、すでに学習している生徒と学習していない生徒が混ざっていたので、次のような前置きから始めました。

私たちが毎日暮らしてゆく中で、「電気」は不可欠なものであるし、自然界の多くの事象に「電気」がかかわっています。にもかかわらず、「電気」は目にも見えないし、匂いもない、形もなくて掴むこともできないので、よくわからないと思ってしまう。その一方で、感電、漏電と云うようなことが話題になることがあって、ちょっと怖いと思ってしまいがちです。

しかしながら、「電気」の性質を正しく理解することによって、安全に利用できるのですから、小学校で学習したことと、日常の生活の中で体験していることを改めて復習しながら、頭の中を整理してもらうのが今日の授業の目的です。

小学校で勉強したり日常生活の中で体験して知っている電気のあれこれ
皆さんは小学校の理科で電気の通りみち、電池、電磁石、電気による発熱、電気の利用などについて学んだはずです。また、電池に電線をつなぐと電流が流れて豆電球が光ったりすること、家庭のコンセントに電気器具のプラグを差し込めば電流が流れていろいろな働きをすることを経験していると思います。
そして電池から取りだす電流は直流、コンセントから取りだす電流は交流であるということ、電流の強さ=電圧/抵抗であるということなどを知っていると思います。

電流、電池ってな―に
ここまでの説明では、電池や電流を説明なしで使ってきましたが、これらは何でしょうか。

わたしたちが住んでい宇宙には、2種類の、そして2種類だけの電気が存在することが確かめられています。この2つをそれぞれプラスの電氣、マイナスの電氣と名付けています。

ふつうは両者はペアになっていて、外からはその存在が見えません。何かの仕組みで両者が引き離されて、プラスの電氣ばかり、あるいはマイナスの電気ばかりが集まると、不安定な状態になります(電位差という言葉はあえて使わず)。そして両者が(不正確な表現ではあるが)一緒になろうとするときに、電流が発生します。

自然にそういうことが起きる例が雷であり、乾燥状態でセーターを脱ぐとき、頭髪が引っ張られてパチパチ云うのもその例です(静電気)。

雷の電気はいまのところ利用できませんが、18世紀後半から、プラスの電氣とマイナスの電気を人工的に引き離して、必要なときに電流を取りだせる装置が作りだされました。その一つが、上で説明した化学反応を利用したボルタ電池です。もう一つは、これから説明する電磁誘導を利用した発電機です。
ここからが本番です。それでは実験を始めましょう。

電流の発熱作用
実験1 熱あるいは光の発生

電熱器(ニクロム線むき出しの古いタイプのもの)と白熱電球を使って、電流を流すと熱(あるいは光)が発生することを観察します。

電流の磁気作用
実験2 電流の周りに生じる磁界の観察
導線中を電流が流れると、磁場が発生します。コイルにすると強い磁場を得ることができます。
電池の情報サイトより借用

これを観察してみましょう。
1)生徒に銅丸棒(2㎜φ、40㎝)、単1電池2個、クリップ付導線、磁針を与え、銅丸棒に電流を流してながら、いろいろの向きで磁針に近づけ、磁針の動きを観察してもらいました。ついでに銅丸棒の発熱を実感してもらいました。

2)手製のやや大型のコイルに電流を流し、発生する磁力線を複数の小磁針を並べて観察してもらいました。電流(銅線)を取り巻いて同心円状の磁力線ができるのがわかります。

実験3 電磁石
小学校の復習として、電磁石の働きを確認してもらいました。

実験4 電磁振り子(電気ブランコ)
実験2で、電流の流れている導線を近づけると、磁針に力が働いて動くことを観察しました。それでは、磁石の方が動かなかったらどうなる?という質問を発して、確かめてみることにします。

銅線で作ったブランコに電流を流し、その下端の座板にあたる部分を馬蹄形磁石の極の間に置くとブランコが跳ね上がります。電流の向きを変えると振れる向きが変わります。

このことから、磁界の中で電流に力が働くことが確認できます。

実験5 振動から回転へ
実験4では前後に触れる振動でした。磁石と電流を使って、これを回転運動にするには工夫が必要です。器械体操の大車輪からの連想で、電気ブランコを振動から回転に発展させるクリップモーターの完成品を示して、その工夫を説明しました。これでモーターの原理がわかりました!

実験6 リニアモーターの原理

2本の銅丸棒をレールのように並べて固定し、その間にフェライト磁石をN極を上になるように並べて固定します。銅丸棒の一方を電池のプラス極に、他方をマイナス極につなぎ、2本をまたいで短い銅丸棒をのせると転がりだします。電池の極を入れ替えると、逆の向きに転がります。これがリニアモーターカーが動く原理です。

電磁誘導
磁石と導線による回路を近づけたり遠ざけたりすると、電磁誘導という現象が起こります。
レンツの法則わかりやすい高校物理の部屋から借用

実験7 コイルに発生する電流
1,000回以上、巻いた手巻きのコイルと検流計を使ってつくった装置で、上の図にあるようにネオジム磁石を近づけたり遠ざけたりすると、検流計の針が左右に振れて、コイルの中を電流が流れることを観察しました。

下の図で、左からN極が近づくと、これに反発するようにコイルの左側がN極になるようにフレミングの右手の法則に従って電流が流れ、離れ始めると、逆にN極を引き寄せるようにコイルの右側がN極になるように電流が流れるのです。つまり、現状を維持して変化を妨げるように、電流が発生するのです。

アルファ工業株式会社のページから借用

ついでにネオジム磁石について説明しました。ネオジム磁石はネオジム、鉄、ホウ素を主成分とする磁石で、永久磁石のうちでもっとも磁力が強いことで知られています。実験7の写真の手に持った棒の先にある四角いものがネオジム磁石です。

実験8 渦電流
クリアファイルに銅板を挟んで、斜めに立てかけて斜面を造ります。銅板の入っていない部分に、ネオジム磁石を載せるとストンと滑り落ちます。しかし銅板が挟んである部分に載せると、磁石は大きな摩擦があるかのようにゆっくり滑り落ちます。
アルミニウムのナベブタでツマミがねじ込み式に取り付けてあるものを使って、ツマミを反対側、つまりナベフタの内側に付け替えます。これをよく滑る板の上に裏返しに置くと、ネジの頭が軸となってコマのように回せます。

このナベブタで作ったコマを静止させておいて、縁に沿ってネオジム磁石をゆっくり動かすと、それにつれてナベブタが廻り始めます。アルミニウムは磁石に反応しないはずなのに(実際磁石の力を受けないことを確かめています)、何故でしょう?

種明かしをすると、導体(磁石に反応しないけれどアルミニウムも導体です)の板に対して磁石を近づけたり遠ざけたりすると、磁界の変化を妨げるように、導体の中に渦巻き状に電流が発生するのです。これがコイルや電磁石のような働きをして磁石と引き合うのです。斜面の場合も同じようなことが起きているのです。

これも電磁誘導によるもので、上に述べたように現状を維持しようとする働きによります。渦電流は誘導電動機の原理であり、渦電流ブレーキや電磁調理器に利用されています。

学園の先生方が声をかけてくださったので、最初は遠慮がちであった生徒も、次第に積極的になり、手を下して実験を行っていました。相応の効果があったのではないかと思います。

【広報からの補足】
盛りだくさんの実験ですが、有山会員のつぶやきによると、電流の本態は電子の流れだというところまで説明したかった、時間が足りなかった、ということでした。

今年(2018年)の11月に開かれる国際度量衡総会で、パリにあるキログラム原器が廃止され、代わりに普遍的な定数(プランク定数)から求めるものに変わります。これと同時にアンペアの定義も、正確に求められるようになった電子の電気素量から、定められることになりました。電流は、電子というマイナスの電荷をもった粒子の流れである、という実態に近づいたのですね。

このあたりのことは以下の本に詳しく書かれています。大変興味深い内容の本です。
臼田孝「新しい1キログラムの測り方 科学が進めば単位が変わる」ブルーバックスB2056 2018 講談社。