小金井雑学大学での活動

大井みさほ会員が、平成30年11月18日の午後に、小金井市商工会館の中にある萌え木ホールで行われた小金井雑学大学で、「生活と物理」というタイトルで講義を行いました。参加者は雑学大学の会員である小金井市民を中心に、大人が30名ほどでした。

「生活と物理」と題して、家の内外の日常生活に関係した物理、主として歩くこと、転倒、姿勢、重心など、力学的な話をしました。 転倒による骨折は、年齢が高くなると大きな危険因子となるからです。

力学的に考えると、 私たちが立って いられるのは体の重心から降ろした垂線の位置が、両足の足の裏が地面に接する面を囲む線の内側にあるからです。体を模式的に角柱で表して横から平面で見ると、図aのようになります。今、この角柱が左方向へ移動する場合、図bのように角柱全体が同じように動いていれば、転ばずに移動することができます。

ところが、体の上部と下部の速さが異なり、その差が大きくなって、重心から降ろした垂線が、足の裏の接する面を囲む線から外れてしまうと、足の裏に働く抗力と重心に働く重力によって回転モーメントが生まれて倒れてしまうことになります(図c)。このようなことが起こるのは、何かにつまずいたり、道路の凹みや段差に足を取られた時に起こります。

横向き の速さが小さければ、段差に足を取られても片足を前に振り出して踏みとどまることができますが、早く歩いていると間に合わないことになります。 なにご ともせかせかとするのでなく、 足元に気を付けて、ゆっくり動けば、転倒事故も減る というわけです。 実際の歩行運動は、左右の足を前に踏み出して地面を蹴って進むのでもっと複雑はことになるのですが、ここでは話を簡単にするために角柱での運動にしています。詳しくは、このページが参考になると思います。

また質量の単位など、いくつかの単位の定義が変更になることも紹介しました。2018年11月に開催された国際度量衡委員会で新しい定義が採用されたのです。一番大きな変更はキログラムです。これまで100年以上にわたってパリ郊外にある国際度量衡局に厳重に保管されてきた キログラム原器をもとして定義されていたのが、普遍定数であるプランク定数をもとに定義されたことです。

産総研に保管されているキログラム原器
https://www.aist.go.jp/sst/ja/aist_history/history1/index.html

新しい国際単位系(SI)の全体図です(産総研のページより)。

キログラムの新し定義は「プランク定数の値を正確に6.62607015×10のマイナス34乗ジュール・秒(Js)と定めることによって設定される」となっています。ピンときませんね。詳しくは、このサイトを参照してください。またブルーバックスの
臼田孝 著の「新しい1キログラムの測り方」も参考になります。

上の図にあるように、同時にアンペア、ケルビン、モルの定義も見直されました。これでSIのすべての単位が定数によって定義されたことになります。昔習ったメートル原器やキログラム原器は過去の話になったのですね。時代の流れを感じます。

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