江戸川区子ども未来館での活動(4)

廣田穣会員が、8月22日の午後2時から4時までの時間で、江戸川区子ども未来館の夏休み応援プロジェクトの一つとして、「光を出す化学反応 炎色反応からホタルの光まで」というテーマで、小学校3-6年の児童16名に実験授業を行いました。

①色と光の3原色(講義と演示実験)
色が見えるのは、そのもの自体が色のついた光を発している場合と、外部(太陽光など)からの光を反射したために見える場合があります。ここでは光を発する場合を考えていくことにします。

②光を発する反応(講義中心)
化学反応によって光が発せられる場合があります(化学発光)。反応式で表すと次のようになり、反応を進めるために触媒が必要になります。

A + B -> C + D

この反応の結果、生じたCはエネルギーが高い状態(励起状態)のため、基底状態に戻り、そのときにエネルギーの差に相当する波長の光を発します。これが直接発光の例です。⑤を参照のこと。

一方、上の化学反応で生じた励起状態のCが、持っているエネルギーを別の物質(蛍光を発する染料)に渡してこの物質を励起状態にし、それがもとの基底状態に戻るときに蛍光を発する反応があります。こちらは間接発光と言います。この場合、蛍光を発する染料を変えることにより、さまざまな色の蛍光を発生させることができます。お祭りで売っているケミカルライトがこれですね。

③蛍光についての実験・ブラックライトの応用(実験)
上の②の最後で述べたケミカルライトの反応は、Aがシュウ酸ジフェニル、Bが過酸化水素、触媒がサリチル酸ナトリウムで、Cが1,2ジオキシセタンジオン、Dがフェノールです。1,2ジオキシセタンジオンは不安定で、自然に2分子の二酸化炭素となり、この時に発生するエネルギーが蛍光染料に渡され、蛍光染料は励起状態になり、基底状態に戻るときに蛍光を発します。

ブラックライトは、ほとんど目に見えない紫外線を発生する光源を言います(写真はWikipediaより)。携帯に便利なLEDによるブラックライトも多数、販売されています
普通は目に見えない蛍光塗料を、ブラックライトを当てて光らせることができます。よくショーウィンドーのディスプレイの視覚効果で使われていますよね。そのほかにも、紙幣の真贋のチェックなど、いろいろと応用されています。

そうそう、夜釣りをするときには、電気ウキやケミカルライトを利用したウキを使いますが、蛍光塗料を塗ったウキを使って、ブラックライトでウキの動きを追うこともできるようです。

④炎色反応をきれいに見る(実験)
炎色反応とは、アルカリ金属(下の写真の左から1、2、3番目まで)やアルカリ土類金属(下の写真の左から4、5、6番目)、金属の銅を、炎の中にいれると、それぞれの元素に特有な色を発する現象をいいます。

この反応は、それぞれの元素の原子がもつ電子が外側の軌道に熱によって移動した励起状態になり、再び元の軌道に戻るときに、元素特有の色を発することによります。

したがって、きれいに炎色反応を起こすためには、それぞれの金属原子がバラバラになった塩化物水溶液を使うか、金属銅の場合は微小な粉末にする必要があります。ここではガスバーナーではなく、カセットコンロを使っています。

色の異なる金属を混ぜてやれば、①で述べた光の3原色に従った混色を作ることができます。花火の色はこの方法で作っているんです。

⑤ルミノールによる発色(実験)
ルミノールという化合物の塩基性水溶液に、過酸化水素と血液(ヘモグロビン)を加えると、強い青紫色の発光を示します。これがルミノール反応で、警察の科学捜査で血痕の検出に使われます(写真はWikipediaより)。これも化学発光の一つで、この場合、上の②で述べたAに該当するのがルミノールで、過酸化水素がB、ヘモグロビンが触媒に相当する直接発光行です。

郵便局や銀行に行くと、カウンターの後ろにそっと置いてある防犯カラーボールは、ルミノール反応を利用しています。入口の柱に貼ってある、身長目安の目盛りも気になりますよね。

ホタルの発光は、広い意味で化学発光の一つですが、生物が作る酵素タンパク質が触媒となっているので、特に生物発光と呼んでいます。

いずれの場合も、光を発するのは励起状態から基底状態への電子の遷移によって起こる現象で、原子の構造を学習していない小学生には、根本的な原理を理解するのは難しいでしょうが、いろいろな実験を通して、きれいに光る今回の実験を覚えていて、いつか、「あ、なるほど、あの時のはこれだったのね」、となるといいのですが。

注記)上の記述は、各項目のタイトルから膨らませて書いたもので、必ずしも実際の授業の内容を反映しているものではありません。当日の写真は、子ども未来館の前川さんが撮影したものです。

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