千葉県立船橋高等学校はSSH校の指定を受けていますが、本年度の生徒の課題研究について、本会会員がサイエンスメンターとして研究指導の依頼を受け、2025年6月より複数回にわたり当該校に出向いて研究指導助言等を行ってきました。2026年1月31日に主に理数科1,2年の生徒80名の実験研究の成果の発表会が午前中2時間にわたって行われ、当会の町田武生会員と和田勝会員が質疑応答に当たってきました。発表会には他校の高校教員、SSH運営指導委員、サイエンスメンター、そして生徒の保護者など多数の方が参加されました。
県立船橋高等学校SSH発表会のポスター
当日は計56件のポスター発表が行われ、それ等のうち生物11件を上記2名の会員が担当しました。いずれも校内の生物実験室で行われた実験研究で、それぞれ何をどのように明らかにするのかを良く考えて実施されていて、好感の持てるものが多かったように思います。ミジンコの心拍に対するNaClおよびEtOHの効果、さまざまな濃度の塩水でのボルボックスの生存、直流電流によるエンドウの成長、プラナリアでの電流による記憶形成、セイロンベンケイソウ栄養生殖の仕組み、タンポポ側根枝でのゴム生産など、さまざまな研究がありました。その中では、アミメアリのペパーミント嗜好性の発見、およびアマガエルの呼吸に対する気圧および湿度の影響の研究は、良く考え実験装置を製作して工夫を重ねた実験で、着眼点の新規性とともに新たな展開が期待できそうなものでした。1年生の中には英語での発表も複数あり、質問に対する回答もスムーズで、国外での発表も出来そうで頼もしく感じました。
ポスター発表の様子
今回の発表の中には、伊豆大島の植物生態遷移の調査や千葉大学留学生の発表などあって、高校生には大きなインパクトがあったのではないかと思われました。発表会で発表することは生徒さんにとって大きな刺激になったと思われ、今後の展開が大いに期待されました。
以上
2026年1月31日に佐々田博之会員が千葉県立佐倉高等学校にて、1年生の生徒7人に対して13時から2時間の時程で実験授業を行いました。高校の先生にも1人ご参加頂きました。「マイ分光器を作り光源の性質を調べよう」という題目で、13:00~15:00で簡易分光器を自作し、様々な光源を観測する実験を行いました。生徒たちは光の性質については未学習でしたので、まず光と分光器の原理と製作法の説明を40分程度行いました。
分光器というのは、光を波長(つまり色)によって分ける道具です。そのためにはプリズムも使われますが、多くの場合回折格子(かいせつこうし)という非常に細かい溝が刻まれた板やフィルムが使われます。例えばCDやDVDの裏に光が当たると、虹色に輝いて見えますが、その場合はCD板の細かい構造が回折格子となっているのです。
実際の分光器で使われるガラス製回折格子 (今回の実験授業で用いたものではありません。)
授業の様子
授業の後、自分たちで型紙に合わせて工作用紙を切り、回折格子シート(1 mmに500本の筋がつけられているもの)を貼り付けて、手製の分光器を作りました。皆手際が良く45分程度で全員完成しました。それぞれの生徒さんが作った分光器で照明(Hg入り蛍光灯、LED蛍光灯、スマホの照明)、太陽のフラウンホーファー線、スペクトルランプ(Ne, Ar, N2, O2, H2)、電球を観測しました。電球などは可視光の様々な波長の光が連続的に含まれるために、連続スペクトルが観測され、元素は固有の波長の線スペクトルを持つことを説明しました。スペクトルというのは、光源の光のうち、どの波長(色)がどれ位の強さで出ているのかを図にしたものです。光源の光には、青から赤にかけて可視光の範囲で連続的に光が出ているものと、各種の原子の発光のように特定の波長(色)の光が出ている場合があります。電球や太陽光は前者です。ただし、太陽の光は所々光が弱い波長があって(フラウンホーファー線)、その部分の元素が太陽表面(又は地球の大気)に存在して、それぞれの元素に特有の光が吸収されていることが分かります。
マイ分光器をつくって、様々なスペクトルを観測している様子
様々なスペクトル
生徒たちは、自作の装置で実際に様々な光源の光を観測し、綺麗なスペクトルが観測できて楽しんでいました。生徒たちには分光器を持ち帰って色々な光源を見るように勧めて、今回の実験授業を終了しました。皆さんお家で見られたでしょうか。
以上
小学校・中学校・高等学校の理科教育を支援する科学者の集まりです