三鷹市立第三小学校での活動

日江井榮二郎会員が、2月8日(水)の午後に、三鷹市立第三小学校で、「教員への願い、自分の星を見つけよう、太陽の活動」というタイトルで、三鷹市立の公立小学校及び中学校の教員50名弱に対して講演を行いました。この活動は、三鷹市の公立小・中学校の理科研究部の顧問である鈴山尚子三鷹市立第五小学校長から、大井理事長あてに依頼があり、地元である日江井がひき受けたものです。

当日は午後2時30分から、理科研究部の教員向けの研修があり、教員の方3名が、工夫した教育の仕方について報告があありました。それに引き続いて、講演をしました。

その中で特に強調したのは、教育のプロである皆さんは、次世代を担う子供たちを育てるという大切な仕事をしているので、その矜持を持ってほしいとお願いしました。そして、児童・生徒が自分はかけがいのない存在だと気が付くように、「自分の星を見つけよう」というタイトルで話をするが、そこで子供たちに話かけるために使っているパワーポイントのスライド集を、使えるものはどうぞ使ってくださいとくださいと、渡してきました。

また、ガモフの不思議な絵を見せ、児童に尋ねるのと同じく、教員の皆さんにもどんな風に見えるかを尋ねました。これを子供たちに見せて、反応を見て下さいと話をしました。

教員の中には国立天文台の4D2Uの動画を知っている人もいましたが、それでは見られない太陽活動の動画も見せました。また全員に国立天文台で使われなくなった理科年表(1~数年前のもの)を差し上げました。理科年表は学生以来しばらくぶりで手にしたという先生方もいて、この見方も説明し、大いに活用してほしいと話しました。また日食のDVD「ひので」衛星のDVDも皆さんで見て下さいと言って、鈴山先生に渡してきました。

「太陽の活動」の話に関連して、教員からは、コロナが高温であるのはなぜか、太陽活動の源は、地球への影響は、などの質問を受けました。

板橋区立板橋第二中学校での活動

大井みさほ会員が、2月9日の午後に、板橋区立板橋第二中学校で行われた教職員教育研究会に参加して、岡村克也高島第一中学校長のほか、教員およそ60名に対して理科部会の研究発表の後で助言などを行いました。

まとまった時間を30分程度もらい、狛江で行なった光ファイバーの授業を紹介し、実際にどのような実験を行ったのかを演示してみせました。若手教員が多いことから、実験例をいろいろと指導してほしいと岡村高島校長から言われていたからです。

また、理科の授業に対して生徒の興味・関心をもたせることに関しても、いろいろな事例を挙げて述べました。演示実験で使用した光ファイバーを、あとで各教員が自分たちがで試してみるために、希望者に配りました。

SSISSのパンフレットを50部持参して配布し、SSISSの宣伝もしてきました。

東京雑学大学での活動

大井みさほ会員が、2月2日に西東京市民会館で開かれた東京雑学大学の第1072回講義で、「台所と物理 -台所は理科の実験室」というタイトルで、およそ50名の受講生にスライドを使って講演を行いました。

はじめに東京雑学大学の菅原珠子理事長から紹介があり、今回で大井会員の講義は5回目であることが告げられました。最初の講義は平成20年で、だいたい2年ごとに講義をしているそうです。
紹介を受けて講義が始まります。

物理学関係の仕事をしてきた人にとって、台所はまるで理科の実験室。熱に関係する機器にしても、ガスバーナー、電熱器、マイクロ波加熱器などの熱を加える装置、それにアルミ鍋、鉄鍋、ステンレス鍋、土鍋、圧力鍋などの加熱用の容器、保温器など。そういう視点で台所と物理の関係をみて、また人が毎日必要とするエネルギーについても考えてみたい、というのが今日のテーマです。

測定する
測定は科学の基礎です。台所には様々な測定器具があります。体積(容積)を測るメジャーカップやスプーン、質量を図る台秤やばねばかり、時間を測るタイマー、温度を測るガラス温度計やバイメタルを利用した揚げ物用温度計、濃度を測る塩分濃度計。

力学
調理をしたりするために、力を加えます。力はモノを動かすとき、動いているモノの速さを変えるときに必要です。モノが重いほど、あるいは速さを急激に変えようとするほど、大きな力が必要です。

速さの変化の割合を加速度と言います。
力=質量X加速度
圧力=単位面積当たりの力=力/面積
一定の速さで動き続けるときは力は必要ない(実際は摩擦などの抵抗があるのでそれに見合う力が必要)。

ということで、ニュートン力学の3つの運動法則が成り立ちます。
3つの運動の法則に加えて、2つの物体の間に働く万有引力の法則があります。地球上のすべての物体も、その物体と地球の間でこの法則が成り立ちます。昔習って混乱したことの中に質量と重さがありました。質量はその物体のもともと持っている量で、gやkgで示します。一方で重さはその物体にかかる重力(地球上では地球の引力による)のことを言い、単位はニュートン(N)を使います。1㎏の物体に対する重力の強さは9.8N(約10N)です。したがって50㎏の人の重力はおよそ500Nになります。昔はニュートンを使わずにkg重とならいましたね。

包丁で切ったり、缶切りで缶を開けたりするときには、力学が関係します。これ以外にも、台所での仕事には「力」が加わって行われるものがたくさんあります。すり鉢、ミキサー、、。急須の底にくっついたお茶っ葉を引き離すとき、逆さにしてとんとたたきますよね、あれは慣性の法則を応用しているのです。

熱力学
熱も物理学の重要なテーマです。煮炊きに熱は欠かせません。熱の逃げ方には、熱伝導、熱放射、対流があります。鍋の材料の熱伝導率を比べると、銅が一番熱伝導率が大きいことが分かります。保温するためには逆に熱伝導率が小さなもので囲むことが必要になります。真空を利用した魔法瓶が良い例ですね。

電磁気学
電磁気学の基本にマクスウェル方程式があります。これを式でなく言葉で表すと、次のようになります。
これを応用したものにマイクロ波オーブン(電子レンジ)があります。電子レンジはマグネトロンから出る2450MHz(波長12.2cm)のマイクロ波を利用して、商品中の水分子(+とーが偏った双極子)を振動させてその摩擦熱で温めます。扉の金網は12.2cmより穴径が小さく、マイクロ波が通り抜けないようにしています。
ですから水を含んだ食品でなければ温まりません。試しに水、バター、サラダオイルを同量とって電子レンジにかけましたが、水以外の温度は上がりませんでした。

熱力学に戻って
液体が蒸発するときは蒸発熱を奪います(夏の打ち水)。これを利用したのが冷蔵庫ですね。
冷媒としてはフロンに代わって、現在はイソブタンが使われています。

力学と熱学をつなげたジュールの実験は有名です。水槽に入れた6リットルの水を、13㎏の錘2個を1.6mの高さからゆっくり下げてることによって羽根車を回転させて撹拌して温めました。20回繰り返したときに0.3度℃上昇したので、水1gを1℃温める1カロリーは4.2ジュールと求められました。
ここで基礎代謝量と、それぞれの仕事に要するエネルギー、それを補うための食品のカロリーを考えてみました。

光学
最後に光学です。野菜などを洗うとき、白いお皿が細かい土や砂などの洗い残しを際立たせてくれるので重宝します。

いろいろと例を挙げましたが、台所は理科の実験室ですね。

講義終了後、質疑応答がありました。台所での調理を誰かのためだなどと考えると嫌になることもあるけれど、今日、教えていただいたいろいろなことを考えながらやると楽しくなりそうです、という感想が印象的でした。

沖縄市立見里小学校での活動

日江井榮二郎会員が、1月20日に沖縄市立見里小学校において、小中学校教員に対して「見える宇宙・見えぬ世界」と題して、サイエンスカフェ方式の対話と講演を行いました。

1)本物の研究者に触れ、科学の面白さを実感する
2)天文に対する思いや感激を話す
3)対話形式
4)今年度の日食の映像
などの話題をコーヒーを飲みながら進めてほしいという要望があったので、それに沿うように努めました。また、あらかじめ2016年版の理科年表、国立天文台・すばる望遠鏡・アルマ電波望遠鏡のパンフレットを現地に送付しておきました。

1958年にスワロフ島で観測された日食を観察しに出かけて、日食病(そんな病名があるとして)になったことを告白しました。それからは、世界各地で日食があれば出かけています。

日食時に観測されるコロナの話をしていたら、なぜ光球より外側にあるコロナが100万度という高温かという質問が出ました。理科年表に記述されている太陽内部~コロナの物理量の表を見ながら、太陽の構造について話し、コロナが高温である観測事実、高温になるべき条件、理論的な研究を述べました。しかし、肝心な点は未解決だと話しました。

これがきっかけとなり、恒星の誕生・成長・死を示す画像を見せ、現在考えられている輪廻(星の一生)のお話をしました。さらに宇宙膨張の事実から、この世界で見えているものは僅かに4%で、見えていない残りの96%が宇宙の構造・活動を支配しているのだと述べました。

生徒たちには教室で、「君たちは星の子」の話をしてほしいと言い、その説明のためのパワーポイントを渡してきました。また理科年表の使い方も簡単に説明しました。

大田区立大森東小学校での活動

有山正孝会員が、1月13日に大田区立大森東小学校の6年生の児童に、「電気と私たちの生活」に関連した実験授業を行いました。

この実験授業は、大田区のおもしろ理科教室の一環としての授業であるため、昨年の12月6日に行った担任と打合せを受けて、教科書・学習指導要領からは逸脱した授業を行いました。

電気の利用と称しているのは、実際は電流を利用しているのであり、それは何故か、どのようにして行われているのか、に重点を置いた授業になりました。ただし、ジュール熱とコンデンサーはこの項目において初めて学習する事項です。

次の順序で、演示実験と児童による実験を入れて、お話を展開しました。

①はじめに:小学校で学習する電磁気関連の項目を振り返る。
②電気って何だ:日常生活の中での電気についての認識の確認(静電気・火花放電の演示を含む)。
③電気の歴史:電磁気学研究小史を通して、静電気と電流の関係を理解する。
④電流の基本的性質:発熱と磁気作用、金属は高温で光を放射すること(演示実験、児童実験)。
⑤磁石は電流が流れている導線を動かす:モーターの原理(演示実験)。
⑥電気を作りだすには:電磁誘導と発電機(演示実験)。
⑦電気は貯めておけるのか:手回し発電機によりコンデンサーの充電・放電を確かめる(児童実験)。
⑧電氣の正体:電子について簡単に解説、電流は電子の流れであること。

6年生にとっては少し難しけれど、とても興味深い内容になりました。おもしろ理科教室にぴったりでした。