八王子市立高尾山学園での活動(5)

和田勝会員が、1月30日の午後、八王子市立高尾山学園で、「細胞のお話」というテーマで実験授業を行いました。参加した児童・生徒は2名、教員が3名でした。

まず最初に、月探査船かぐやから撮影した、月平線の向こうを漆黒の宇宙空間をバックに青い地球が登ってくるJAXAとNHKが制作した動画を見せました。

続いてルイアームストロングが歌う「What a wonderful World」の動画を見せました。歌詞が英語なので、拙訳を印刷して渡しました。What a Wonderful World和訳2

この2つの動画を見ると、この広い宇宙空間に、生命体が存在するのは、太陽系第三惑星地球だけであることが強く印象付けられます。後者の動画では、多様な生物が地球上に生息している姿が生き生きと映し出されます。

その生き物ですが、大きなものは20mを越えるシロナガスクジラから小さなものは0.2mmのゾウリムシと、じつにバラエティーに富んでいます。
Blue whale size.svg
Wikipediaより

上の図では、ゾウリムシはヒトの足先の点にも満たない大きさです。大きな生物なら肉眼で見ることができますが、小さなゾウリムシは拡大する装置が必要です。それで、顕微鏡の登場です。

生徒は備え付けの顕微鏡を準備して、持参したゾウリムシをシャーレに配ります。ホールスライドグラスを使い、自由に観察してスケッチしてもらいました。

ゾウリムシといっても平たいわけではない。どんな形をしているのか、どのようにして泳ぐのかをじっくりと観察してもらいました。楽しんで観察していましたが、先生方の方が楽しんでいたかもしれません。回転しながら進む様子、何かにぶつかると反転して障害物を回避する動き、などとても興味深いものがあります。高倍率にして細胞の縁をよく見ると、繊毛がチラチラと動いているのが見えます。分裂をしようとしているゾウリムシを観察することができました。ラッキー。

下の動画は高校生物実験ですが参考に載せておきます(著作権は矢嶋正博さんにあります)。

これは単細胞生物、たった1個の細胞で何でもこなしてしまう。でも大きさは限られてしまいます。クジラの大きさの単細胞生物はいません。表面積と体積の比率が釣り合わなくなるからです。そのため、細胞1個の大きさはせいぜい0.02mmです。

でもって細胞は、細胞分裂によって数を増やし、役割分担をして体を構成するようになります。多細胞生物の誕生です。多細胞生物の例として、一番観察がしやすいタマネギの鱗茎葉の上皮細胞を薄く剥ぎ、酢酸カーミンで染色して観察してもらいました。

最後に、超音波によるヒトの発生の動画を見てもらいました。みんなは生まれる前、お母さんのお腹の中で、細胞の数を増やして大きくなって生まれてきたんだよ。すごいね!

八王子市立高尾山学園での活動(4)

廣田穣会員が、1月16日の午後、八王子市立高尾山学園で、「色のついたものと光を発するもの」というテーマで実験授業を行いました。参加した児童・生徒は4名、教員が3名でした。

事前の打ち合わせはメールで行い、20枚のスライドの原稿を学園側に送ってカラーコピーしてもらい、配布しました。当日は配布したコピーを見てもらいながら、スライドを映写して説明を行いました。

最初の30分ほどを使って、青い色の色紙、セロファン紙、青い液体のように青く見えるものと、青色LED、青色信号灯など、青い色を出すものを見せて、青色といっても、反射によるもの、透過によるもの、青い光を放射するものは、それぞれ異なる原理によって見えていることを理解してもらいました。

難しく言うと、光源色と物体色、さらに後者には表面色と透過色があるということです。

CCS株式会社光と色の話 第一部12回より

これを踏まえて、木の葉がなぜ緑色であるかを理解してもらい、補色の考えを紹介しました。

発光による色として、熱、紫外線、化学発光について説明をし、発光の例として炎色反応の実験を行いました。スチールウール上に、比較的多い量の金属塩を保持する新しい方法を採用することにより、強い炎色反応を得ることができました。